第2話肴だ! MATSUURA

 酒に負けじと肴が謳う。

 

 あじの刺身が口の中で踊る。

 脂ののったまろやかな舌触り、水揚げ量日本一を誇るだけある。

 今日も漁師の勇ましい声が海原で上がる。


 さばの塩焼きが私をいざなう。

 柔らかい身が脂に包まれ舌を滑る。

 もう一杯、と酒が進む秋の夜長。

 今日もりの雄叫びが市場で響く。


 ぶりで白米を包む。

 長崎自慢の甘口醤油をかければ箸も進む。

 刺身も良いけれどどんぶりもいけるね。

 焼酎か酒か迷っても、結局はどちらも呑んでしまう。


 「シメは私よ」とたいささやく。

 ご飯の上に乗せてお茶をかければ、鯛茶漬けの出来上がり。

 ご飯とお茶の温もりが体に染み渡る。

 「あと一杯」に未練を残し、熱めの風呂で汗をかく。


 今宵も松浦まつうらのどこかで、誰かが呑んでいる。

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