地獄の底からさようなら

市伍 鳥助

第0話 ひとつ昔話

むかしむかし、とおいむかし、それは今では神代と呼ばれる時代、人類は魔族との戦争に明け暮れていました。

拮抗していた人類と魔族の戦力は強力な魔王の出現によってバランスを崩しました。

彼の者の率いる魔王軍は精強で、人類国家を次々と滅ぼしていきました。

残されたいくつかの国の一つ、その国の王様はある大きな決断を下しました。勇者の召喚です。

勇者の召喚には多大な犠牲を払う必要がありましたが、王様は人類が滅ぶよりはましだと、賭けに出ました。

果たしてその一世一代の賭けは成功し、一人の勇者が召喚されました。

彼は王国に迫っていたおよそ10万を超えるであろう魔族たちを、瞬時に蹴散らしてしまいました。まさに光の如き、神の加護を受けた勇者に相応しき様相でした。

その勝利の勢いに乗り、勇者を旗頭に据えた人類は数多の魔族を屠っていきました。

多くの人が勇者の旗元に集い魔族と戦いました。

そしてついに、人類は魔族に勝利しました。

戦いが終わり、異世界から召喚された勇者は人々からの感謝を背に元の世界へと帰っていきました。

こうして人類はその手に勝利と平和をつかんだのです。

おしまい。

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