第六十頁(休) 「パンク作家と妖怪サシ」元ネタ解説

「パンク作家と妖怪サシ」の登場人物や地名、店名などにはほとんどに邦楽ロック/ポップスのネタが使用されている。


 本頁ではたまたまストーリーの構想が少し途絶えた事と60回目という数字が重なった事を利用し、その元ネタを解説する。

興味のない読者殿は飛ばしてもらっても問題はない。


 ・街田康助 (まちだ・こうすけ)

 歌手・小説家の町田康(旧名・町田町蔵)。

 御本人の作品は読みやすく非常に面白いが、「パンク侍、斬られて候」の終盤や「けものがれ、俺らの猿と」のように時々とんでもなく抽象的な展開や描写が挟まれており、街田の作品はそのような場面が延々と続いているイメージ。

 筆者のお気に入り作は「くっすん大黒」。ちなみに小説は彼と、大槻ケンヂのものしか読んだ事がない。


・サシ

前述、町田康の作品「けものがれ、俺らの猿と」の主人公・佐志より。本家は男性。映画にもなっており、永瀬正敏が役を演じた。

容姿には特に元ネタは無いが、おそらく色々なアニメやゲームで見たような記号の集まりで出来ている。


・星凛町

遠藤ミチロウ率いるパンクロックのレジェンド的バンド、THE STALIN。

スター=星、リン=凛。

場所は筆者が以前に住んでいた某所をイメージしており、店や駅などの配置もほぼ同じ。文章では伝わりにくいが。


・喫茶ケラ

ニューウェーブの大御所である"有頂天"のボーカル、ケラより。現在はケラリーノ・サンドロヴィッチと名乗っている。

店主の容姿も彼がモデル。


・(麦竹)カイン

80年代のデビューから今もなおメンバー不動で活動するビジュアル系バンドの先駆者、BUCK-TICKの曲名「カイン」より。サブタイトル"嘆きのカイン"はサビの歌詞。

バイト時の苗字・麦竹(むぎたけ)も"ばくちく"と読める。

逆立てた髪型は、ドラムのヤガミトールがモデルだが初期は全員が髪を逆立てていた。


・松戸ガガ

BABYMETALに楽曲を提供した上田剛(AA=)も所属するニューウェーブハードコアの雄、THE MAD CAPSULE MARKETSが元ネタ。

名前は松戸=マッド、ガガは「GAGA LIFE.」という曲名から来ており、レディー・ガガではない。

全盛期、特にメディアに多く出ていた時はジャケットなどのアートワークに赤を多く用いていた(4PLUGS、DIGIDOGHEADLOCK、OSC-DIS等)ため、髪の色も赤である。


・暮井明日美 (ガガの昔の親友)

クレイはTHE MAD CAPSULE MARKETSの上田剛士(現AA=)が以前名乗っていたバンドネーム「CRA¥」。明日美(アスミ)は同バンドの楽曲「A・S・M・I・A・S・B」からのもじり。


・ライブハウス・ヒューマニティ

THE MAD CAPSULE MARKETSのインディーズ1stアルバム「HUMANITY」より。


・模型店プラ・モデル

ニューウェーブテクノポップの先駆者、P-MODELから。名前の設定は無いが店主のイメージもメンバーの平沢進。

「フルヘッヘッヘ」という笑い声は楽曲「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ」より。


・尚葉と綾二

ハードコアバンド、マキシマム ザ ホルモンのナヲ姉とマキシマムザ亮君。実際に姉弟である。

セリフや精神病院の描写にも所々に彼らの楽曲のネタがある。

会話に出てくる「大ちゃん」は同じくメンバーのダイスケはん。


・桜野踊左衛門(さくらのだんざえもん)

福岡市博多区発、国内オルタナティブロックの革命児NUMBER GIRLの楽曲「桜のダンス」より。

彼らの楽曲「SAMURAI」、「透明少女」、「U-REI」あたりからヒントを得たキャラクター。

ラーメン好きもボーカルの向井秀徳に倣っている。

愛用の妖刀「赤蜻蛉(あかとんぼ)」は楽曲「Tombo the electric blood red」より。

作中おそらく最も元ネタの要素をこれでもかと詰め込む事に成功したキャラクター。


・ラーメン屋「南無蛇(なむへび)」

NUMBER GIRLのラスト・アルバム「NUM-HEAVYMETALLIC」より。ファンの間では「ナムヘビ」の愛称で親しまれていた。と思う。


・妖怪・鎌鼬(かまいたち)

名前の設定は無いが長髪の無精髭、タバコという出で立ちはロックバンドL'Arc〜en〜Cielのギタリスト、Kenがモデル。

能力名「ルーズ・コントロール」も彼らの楽曲「浸食 lose control」より。


・具生ダズル

北海道発のビジュアル系?バンドGuniw Toolsのグニュウ、彼らのアルバム「DAZZLE」を合わせたもの。容姿もボーカルの古川とものイメージ。

能力名「グリーン・カーニバル」も楽曲名。


・亀ノ内・シャングリ・らいふ

日本のテクノ伝道師である電気グルーヴの楽曲「カメライフ」の間に「Shangri-la」を挟んで変形させたもの。容姿の元ネタは特にないが、銀髪、白衣、スクール水着といったオタクが好む要素をあまり見たことのない組み合わせで考えるというコンセプトに基づいた。

所々に登場する彼女の楽曲も電気グルーヴの楽曲のタイトルをもじったもの。

「物質を右に寄せる」能力「オール・ナイト・ロング」は電気グルーヴを初期、いや前身から知っている人であればピンと来ると思うが、ここでは詳しい内容は割愛する。


・嘉門レイ

L'Arc〜en〜Cielのベーシスト・TETSUYAのソロアルバム「COME ON!」とL'Arc〜en〜Cielのアルバム「ray」を合わせたもの。容姿もメガネ着用時のTETSUYAかもしれない。


・椿木どる

筋肉少女帯の楽曲「暴いておやりよドルバッキー」より。ドルバッキーのアナグラムで「つばきどる」。相手の心を読む能力名「サーチライト」も筋肉少女帯の楽曲名。

容姿はなんとなくアイドルの最上もがをもうちょっと平凡にしたイメージ。


・丹後珠美(どるの親友)

筋肉少女帯の楽曲「マタンゴ」と、歌詞に出てくる「君の家のタマミちゃん」。決してキィィノコ人間ではない、普通の人間の女の子。


・マックス丸一

CHAGE and ASKAの片割れであるCHAGEがモデル。彼の別バンド「マルチ・マックス」のもじり。

CHAGEは実際に毎週末オンエアのラジオ番組をやっており、独特のテンションの高さとセンスのいい選曲が大変面白いのでおすすめ。


・アマガサキ

京都のポップ/ロックバンド、くるりの楽曲「尼崎の魚」より。容姿や関西弁もボーカルの岸田繁がモデル。

岸田川は岸田繁と、彼らの楽曲「リバー」から。

川を支配する能力「パール・リバー」も楽曲名。

寿司をふるまう様は彼らのビデオクリップ作品集「くるくる鮨」から。


・波山道造

メロディック・ハードコアバンド「Hi-STANDARD」のボーカル/ベースの難波、ギターの横山を合わせたもの。名前の道造は彼らの大ヒットアルバム「MAKING THE ROAD」より。

当作品にあるまじき平凡に平凡を重ねたキャラクターなので、ハイ・スタンダード=めちゃくちゃ標準的、というイメージで命名したが、本来のHi-STANDARDの由来は「高水準」という意味からくるので決して平凡ではない。


・ポテトサラダラーメン

NUMBER GIRLの向井秀徳が解散後に結成したZAZEN BOYSの楽曲「ポテトサラダ」より。

なぜNUMBER GIRLネタの桜野よりも扱いがぞんざいなのかは、まあそういう事である。


パロディなどの元ネタは筆者自らわざわざ語らないから良いという事は分かっているが、言わなければ伝わらない物も多いと判断した為ここにデータ感覚で記した。


今後また行き詰まった時…もとい、小休止の際など、折を見て更新できればと思う。

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