第61話

「俺やっぱり帰っていいかな?」

「だめに決まってんだろ?!なんのために来たと思ってんだ!!」

 だって、この状況見てみろよ。

 扉開けた瞬間に海を真っ二つにしたようにムキムキの男たちが腕を後ろに回して並んでんだぜ。

 変態アストレアすら少しドン引きじゃねえか。

「「「「「「「「「「「「お頭!!!ご無事に戻ってきてくださりありがとうございます!!!!」」」」」」」」」」

「おう、ご苦労さん。だがお前ら今回の客は女性が多いからもう仕事に戻っていい」

「「「「「「「「「「「「はい!!!!!」」」」」」」」」」

 ヘファスの呼びかけに男たちはぞろぞろと自分の持ち場に戻っていく。

「・・・ヘファスってこんなに偉い奴だったのか?」

「主様」

「どうした、タウ」

「一応私が聞いている情報をお伝えしておきますか?」

 ヘファスがなんでこんなどっかの親方みたいになっているかさすがに気になるわ。

「・・・ま、いちおう」

「ヘファス・スミス。この国の中で聖魔剣職人であり、数々の伝説的な剣を作った武人とされております。ここヘファス・スミズには100人以上の弟子を抱えています」

「・・・そんなにすごかったのあいつ」

 なんか最近ただのツッコミ役としか思ってなかったからな・・・

 シルの前ではおじいちゃんだもんな。

「お前本当に俺のこと舐めてるよな」

「まあ・・・」

「・・・本当にお前はな・・・ここが俺の仕事場だ」

 そこにあったのは大きな大きなかまどがあり、剣を鍛錬するためのスペースが用意されている。

 その周りにはまだ作り途中になっているものほぼ完成形の剣など様々なものが置いてあった。だが、

「ハルオミ以外はとりあえず上の客間使っていてくれ。ここは暑いしやけどの危険もあるからな。あんまりいない方がいい」

 く・・・ただでさえ暑苦しいのに俺一人だと?!

 確かにこんな鍛冶場なかなかないだろうし、たくさんの魔剣、聖剣も見れるし、鍛冶職人の技もこんなまじかに見られるとか魅力的なもんばっかりだけどさ・・・

「「ふんぬ!!」」

 いちいち筋肉がちらつくのとか毒なんだよ!

 オイル塗りたくってんじゃねえよ!

 なんで金属音の間にムキって効果音ついてんだよ・・・

 ちくしょう・・・気軽に来るんじゃなかったわ・・・

 ここじゃなくてうちでできるようにしたい・・・ここだけ転移させちまおうかな・・・

 どうにかできないかこの状況・・・

 少し泣きそうな俺だった。

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