第54話
side セリス
「・・・ここは?」
『おお!、起きたかセリス!!』
余り見慣れない天井が見える。その横にはシルフィが心配そうにこちらを見ている。
確か
「お、起きたか」
噂をすれば聞こえてきたのはハルオミ殿の声である。横を向くと先ほどの服とは違っている服だが先ほどまでの戦闘はなかったかのようにピンピンしている。
「やっぱり強いですな・・・」
「いやいや、これでもやばかったぜ」
『そうだぞ、セリス。こやつが一瞬でも痛みを感じてくれたら絶対に勝っていた』
「いや、痛かったよ普通に」
え、痛みって・・・?
「覚えてないのか?」
ハルオミ殿が不思議そうにこちらを見ていた。あの時は無我夢中で・・・
えーと・・・あ。
『思い出したか、セリス。お主はこやつの腕を切り裂いたのだ』
「え!あ・・・!」
確かに思い出した。私が振り抜いた剣はハルオミ殿の剣にぶつかりはしたが、確かに右腕を・・・え!
「ははははは、ハルオミ殿?!」
「ん?どうした??」
「う、腕!なんでそんななんで綺麗に治っているんですか?!」
そうおかしいのだハルオミ殿は今ノースリーブの服を着ている。でも、右腕は完全にくっついていて、しかも治した形跡は何もない・・・
「ハルオミ殿が自分で治したのですか?」
だとしたら、かなり高度の治癒魔法・・・
だが、私の考えとは違う答えが返ってきた。
「ん?あー気合でくっつけた」
「はいい?!」
気合で?!どんな魔法ですかそれ?!
『おい、ハルオミ。セリスをからかうでない』
「あーすまん、シーさん。ついセリスがいいリアクションしてくれるからさ」
「え・・・?」
「ま、見たらわかるさ」
私が困惑しているとハルオミ殿はナイフを取り出し、腕に当てる。そして、そのナイフを
引き抜く。
「!!!」
ハルオミ殿の腕からは血が噴き出てくる。
「ハルオミ殿何を!早く止血を!!」
『大丈夫だ、黙ってみていろ』
何を言ってるの、シルフィは!すぐに止めない…と?
急いで止血をしようと駆け寄ろうとした瞬間それは起きた。
「傷が治っている・・・?」
先ほどまで血が止まらなかった傷口が急に止まった。
その傷口は完全に塞がっていた。
「ま、そういうことでよっぽどのことがなければ、こんな感じで戻るんだよ」
「・・・ハルオミ殿は不死者だったのですか?」
『それよりもこやつは質が悪いぞ』
「ひどくないか、シーさん」
え?不死者より質が悪い?ということは何ですか??それよりも上位の存在??
「おい?大丈夫か??」
いや、でも見た目は明らかに人ですし心配してくれる顔を見ていると全然そんな気は・・・じゃなくて!
「おーい」
え??でも、確かに、獣化?使えるってことは獣人??えと、要するにハルオミ殿は人であり獣人であり不死者であり??
え???
え??????
「も、もうなにがなんだかああ?????」
『セリス深く考え』
も、もう頭がパンクする~!!!!!!
そして、私はまた倒れこんでしまうのでした・・・
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