異世界の職業集めよう！

第52話

「シルフィ、急に呼び出してごめんなさい」

『ふふ、気にするでない。というよりも最近全くと言って呼ばれてなかったからむしろ呼んでくれてよかった』

「う・・・それはごめん」

　セリスの周りを包むように人の形をとっている風はふんわりとほほ笑む。

　精霊・・・自然界のものに宿る霊的な存在。基本的には人の前には出てこないらしい。

　精霊魔法はその精霊に力を借りて魔法を行使するものだって言ってたな。

　足はないが、まさに精霊って感じだ。しかも、かなり高位の精霊みたいだな。

　輪郭がはっきりしているしちゃっかり俺に不意打ちでもされないように風の防御壁を張っている。

『ふむ・・・なかなか晴れやかな顔をしているセリスを見るのは久々なのでな。今回はそれで良しとしよう・・・で、あの膨大な魔力を持ったものはいったいなんだ？』

　こちらに目を向けて明らかな敵意を与えてくる風の精霊。さすがってとこだな。

「それはあとで。今はあの方を倒す」

『ほお。殺すのか？』

　さらっと言うなあ。

「いえ、模擬戦です。でも」

『でも？』

「殺す気じゃないと勝てない」

『ふふ、セリスがそこまで言うとは。よかろう。では我も・・・全力でやろうではないか！！』

　風が吹き荒れる。セリスの剣は風を纏っている。そして、セリスは

　その場から消えた。

「！！！」

　ギャリリリリッリリリリ！！！！！！！

　目の前に剣。俺の目に見えない程の動きでセリスは俺の目の前に現れた。

　おいおい、俺のステータスでも見切れないくらいなのかよ！

『余所見している場合ではないぞ』

「ぬお！」

　あいつも攻撃してくんのか！つか、エンチャントできる上に遠距離魔法とかどうなってんだ！

「こっちもです」

　ってこっちも見なきゃか！

「ブースト！！！」

　とりあえず、この二人の連携をどうにかしないとな！

「アースウォール！」

『ぬ』

「アーンド！バインド！！」

「甘いです！！」

「予想通り」

「え？」

　やっぱり味方のいる方に避けるよな。

「解放（リレイス）」

「え！きゃあああ！！！！」

「きゃあって」

　斬！

『セリス大丈夫か！』

　お、結構早いな。さすが高位の精霊だ。

「こ・・・これは」

『重力魔法か！』

　ご明察。まあ、さっきのお返しじゃないけど遅延魔法（ディレイマジック）を使わせてもらったよ。十倍重力×10だ。しかも、

『く！私では周囲に近寄ることもできない・・・』

　そういうことだ。風の精霊であるシルフィードは全身が風だ。だから、付加魔法をつけられないくらいの範囲で発動させた。入るためにはかなりの力が必要になるしな。

「ぐうううう・・・！！！」

「さあ、どうする？降参か？」

『舐めるな、人間』

　お、わかりやすく突っ込んできてくれるとはありがたい。

「シルフィだめ！」

『大丈夫だ、セリスよ！すぐにこの男に魔法を解かせ」

「バインド」

『ぬ！此れしき』

「キューブ」

『なあ？！』

　俺は一瞬のスキを突き、シルフィードの周りの空間を固定させた。これでこっちも出られない。

「さあ、もう一度言うぜ。降参か？」

　俺はセリスに向けて問う。だが、

「・・・まだです！」

　セリスのその意思は揺るがない