第49話
「うう・・・ひどかったであります」
「ごめんごめん、俺らいつもこんな感じだから」
「無茶苦茶でありますね」
「よく言われる」
少し機嫌を直してくれたのかこっちをみて少し呆れたように笑うセリス。しかし、笑顔になったと思えば今度は暗い顔になっていた。
「どうしたんだ?」
「・・・何も聞かないんですね」
「ん?」
何のことだ?・・・あ。
「セリスの正体か」
ビクッ!と肩を揺らしたセリス。図星なのかわかりやすい。うーん・・・
「正直な話な、俺はさほど気にしてないんだよ」
「・・・本当ですか?」
「もちろん、どうしても必要とか興味が出てきたらもちろん聞いてしまうかもしれないが、今のところはな」
「私がどんな奴でも?」
「ああ。もちろん。だから、ベルモントも面白いことしてくれるやつならまだ交渉の余地があったんだけどな。・・・あいつはやってはならない一線を越えたからな」
金と女ですべて解決できるとかふざけたこと言いやがって。
「・・・ハルオミ殿は本当にお優しいのですね」
「いーんや。ただ自分の嫌なこと言われて癇癪起こしただけさ」
「そんなことありません!こんな私の剣も堂々とほめてくださいました!」
「いや、あれは・・・ってセリス見てたのか?」
「え、あ、その」
浴室にいたはずだから俺の声が届くはずもないのだが・・・
「そんなに声でかかったか?」
「は、はい!」
「そうか」
うーん、よっぽど怒っていたから無意識か・・・気をつけなければ。
「セリス」
「は、はい」
「俺は、人の厄介事に巻き込まれるのが嫌だし、正直面倒だ」
「っ!!」
「・・・でもな、そんなことよりも俺の知り合いがピンチだったら、俺の大切なものを奪おうとするなら
たとえ神だろうと容赦はしねえ
」
「!!!」
あー驚いた顔してんな。まあ、神なんて言葉が出てきたことに驚いているのかくさいセリフに驚いているのか。でも、神、実際にいるしな。
俺の言葉に動揺しているのかうつむいているセリス。
うーん、こんな調子で明日の継承上手くいくのかねえ・・・
そして、次の瞬間セリスがゆっくりと顔を上げていた。そして、何か決心したようにこちらを見る。
「ハルオミ殿」
「なんだ?」
「私ともう一度手合わせ願いたい」
「結果は同じかもしれないぞ」
「いえ、昨日とはもう違います」
「ほう・・・」
面白いな。いったい何をしてくれるのだろうか。
セリスの提案によりアストレアに障壁を張ってもらった。本人曰く一応中の様子は外に見えなくなっているらしい。
「・・・アストレア殿は気が利きますね」
「・・・まあな」
あれでもいい奴だからな・・・今のこの発言でハアハアしてなければなおさらいい奴なんだが。
「・・・さあ、ハルオミ殿行きますよ」
「おう、いいぜ」
「では・・・
「!!」
セリスが言葉を発した途端セリスの身体が光り輝く。
そして、その中から出てきたのは、
「エルフ?」
異世界テンプレエルフの格好をしたセリスだった。
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