第32話

 side ハルオミ

 俺たちは遅れてくるヘファスを待ちながら奥の部屋に通じる洞窟にゆっくりと入っていった。さて、ネームドモンスターか・・・でも、よくよく考えてみたらタウもそいつらと同じだよな。てことは話が通じるのかもしれない。できれば、話してみてえな・・・

 そんなことを思っている間に洞窟の出口に着いた。その洞窟をぬけると、そこにいたのは、


『何用か、人間』


 白銀の巨大な龍だった。もちろんベースはさっきのエンシェントドラゴンだが、一回りほどさっきの奴らより大きい。何よりも目立つのは、こんな洞窟の中なのに光り輝く綺麗な龍鱗だ。だから、思わず、


「綺麗だ」

『ファ?!』


 と言ってしまった。というかファって・・・悪い奴じゃなさそう。

 ん?ヘファスがギャーギャー騒いでるけど・・・いいじゃん。失礼なことなんて言ってないぞ。ステータス早く見ろって?では、このドラゴン様のステータスはっと、


 名前:ハク レベル20

 職業:クイーンエンシェントドラゴン

 力:55000

 器用:22000

 耐久:43300

 敏捷:60000

 魔力:70100

 魔耐:70500

 スキル:大魔法[炎] レベル30 ブレス強[全属性] レベル40 咆哮 レベル85 剛力 レベル98 堅牢 レベル93 龍の鉤爪 レベル70 統率 レベル10 言語理解 レベル2 念話レベル2 人化 レベル10 神の加護 レベル2


「おお」

 確かにやばいわ。うわーネームドモンスターってこんなに強いのか。そんなことを思っているとハクが念話を飛ばしてくる。


『ん!もう一度聞く・・・お前たちはなぜここに来た。返答によっては』

「容赦はしないってか」

『!その通りだ・・・人間』

 なんでって言われてもな。

「会ってみたかったんだよ」

『・・・何?」

 俺はハクの顔を見てまっすぐに答える。

「あのレベルのエンシェントドラゴンが守っているってことはそれだけ強いか弱いかどっちだけど、何か理由があるはずだろ」

「おい!ハルオミ!!」

『・・・』

 さあ、どう出る。でも、さすがにこの相手に4人だときついかな・・・弱ったところで私が食べようとしていたとかだったら戦闘開始だもんな。

 でも、ハクから出てきた言葉は意外なものだった。

『・・・子どもがおるのだ』

「「「「え?」」」」

 今なんてって言おうとした瞬間。

「きゅいいいい」

 ぱたぱたと小さい白い龍が出てきた。

『これ、出てきてはいかんぞ。元々もっと奥のダンジョンにいたのだが、あそこは私のような奴らばかりだから、手前の方で育てていたのだ」

 え?つまり?

「子育てのために?」

『ああ。しかもこの子を産んだら、私も体力がなくなってしまってね。だから、他のエンシェントドラゴンに守ってもらっていたのさ。だが・・・もうそうも言ってられなくなった』


 その瞬間ハクの雰囲気が変わった。


「「「「!!!!」」」」

 やばい、さすがネームドモンスター・・・

『ここを知られたからには!お前たちを消し飛ばす!!!!この子のためにも!!!!』

 咆哮のせいなのかもしれないが、すげえ圧力。でも、

「なあ、ハク様よ」

『!貴様!!!なぜ私の名前を』

「いいから聞いてくれ。俺は別にあんたと戦いにきたわけじゃねえよ」

『なに・・・?』


「なあ、ハク様。俺らの仲間にならないか」


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