死ぬ気で、生きるために。
apprio
第1話 「うん、わかった。」
「これがあなたをここまで育てるために使ったお金よ、」
まるで雰囲気に合わせるように部屋は暗い。
「今すぐ全部とは言わないけど、早いところ返してください。」
世間的一般には食卓を囲んで
団欒の"だ"の字も見えない。
ついでに未来も見えない。
春、私は母から2枚の紙を渡された
-請求書-
-振込先-
なーにが請求書だ―――――
私は悟った、いや悟らないほうがおかしい
全部じゃないけど大体、半分くらいは。
「うん、わかった。」
悔しいからあっさり了承してやった。
私はその日のうちに荷物をまとめはじめ
明日の朝この家を出ることにした。
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