First memory 37
= memory 37 =
日曜日はいつものように、1時頃に〈SHERRY〉に行った。
いつものように、ゴリさんもカバさんもいる。
この二人はここに住んでいるのかな?
カバさんが昨日から作ってくれてた大根の蜂蜜漬の汁は、喉がコロコロとした。それもここの冷蔵庫に入ってたしな。
今日はどの曲も、一発でカバさんのOKが出た。
いよいよ明日だから一発合格はうれしい。
『でも、一回はヒールで歌っとく方がよくない?』
ゴリさんの意見は正解だと思う。やっぱりヒールだと安定感が変わってくるから。
ちょうどいいタイミングで、ツーちゃんがやってきた。でもすぐに入ってこずに入り口でゴリさんを呼んでる。私はカバさんに呼ばれて厨房に行った。
『喉の薬の作り方を教えてあげる。』
角切りにした大根を蜂蜜に漬ける。
『カツラムキできる?』
できないです。カバさんはするすると大根のカツラムキをしてみせた。
『まっ、ピーラーでもいいから。』
やっぱり、女子力ないです。
『cherry ~!』
ツーちゃんの声。
『ヒール、この間のでいいよね?』
カバさんが、もういいわって言ったのでホールに出た。
ツーちゃんのヒールを履く。
やっぱり8センチは怖いなあ。踏ん張ってみる。ロングドレスだったら、わかんないよね?ちょっと膝曲がって踏ん張ってるの。
『cherry 、ドレスもついでにあわせる?』
ツーちゃんに言われてうなづいた。
「ツーちゃん、ルーズソックスの作って。」
ツーちゃんは笑いながら、この間の白いドレスを貸してくれた。
『とりあえず、着てから呼んで。』
はいと答えて更衣室に行った。
まさか結婚式以外で、こんな真っ白なドレスを着るとは思わなかったなあって考えながら、服を脱いで着慣れないドレスに着がえる。
・・・なんか、この間のとちょっと違う気がする。
この間のもっとまっすぐだったような・・・
ツーちゃん、違うの貸してくれたのかな?
着おわるとやっぱり違う。
この間のは足首までまっすぐだったけど、これは裾の方が少し広がってるぞ?マーメイドラインっていうはず。
でも何よりも違うのは、胸がちょうどだ。
私、1ヶ月で胸が大きくなってる?いやいやさすがにそんなことは。谷間ないし。
『着れた?』
ツーちゃんがドアの向こうから聞いてきた。
「ツーちゃん・・ちょうどなんだけど・・・」
『出てきなさいよ。』
ツーちゃんに言われて、ドアを開けた。
『ほらー!ゴリ、やっぱりちょうどよ。ペッチャンコだったんだから~!Aカップだって!』
ツーちゃんに引っ張られてホールに出た。
『cherry !ステキじゃない!』
とカバさん。
『馬子にも衣装って感じね。』
ゴリさん、それ褒め言葉だったよね?
ちょっと恥ずかしいぞ。
でもなんで胸ちょうど?シンデレラの魔法?
って思っていたら、ツーちゃんが厨房から出てきた。ホールのケーキを持っている。
ケーキの上には、ロウソクがボーボー燃えている。ツーちゃんが叫ぶ。
『cherry !お誕生日おめでとう!!』
20本のロウソクなんだね。
だからそんなボーボー燃えてるんだね。
いきなり、3人がHAPPYBIRTHDAYを歌ってくれた。
『はい、消して!熱い』
ツーちゃんに言われて、ボーボー燃えてる20本のロウソクを吹き消した。一息で全部消えた。
『はい!合格よ!このくらい一息で消せないとね!』
カバさんが笑いながら言う。
『そのドレスは、ゴリとカバからの誕生日プレゼントよ!3人で見立てたの。ツーのサイズで計ったけど、胸は絶対Aカップだってツーが言ったのよ!だってぺちゃんこだったもん!』
ツーちゃんがニコニコしながら言った。
「・・ありがとう・・でも、こんなステキなの・・・」
『よく似合うわあ。ねえ、ゴリやっぱりcherryはマーメイドがよかったでしょ?』
カバさん。
『馬子にも衣装よね~。絶対、白って言われたしねぇ。』
ゴリさんがもう一回言う。
私の魔法使いは〈SHERRY〉にも二人いた。
4人も魔法使いがついてくれてる。
きっと最強!
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