サタデーナイトスペシャル

ルト

第1話 Prison

土曜日の夕方。スライという名の少年が一人、あまり人気のない道を歩いていた。

「ん、何だろう?」

 スーツを着た男たちが、一か所に向かって行くのを、スライは目撃した。男たちは歩道の真ん中で固まると、その場で何かを始めた。男たちは何かを小声で話している。路肩には数台の自動車が停まっている。男たちの雰囲気から、どうやらマフィアらしい。一体、あんなところで何をしているのだろうか。

 少し気になったが、あまり首を突っ込むのも良くない。そう思ったスライは、横をそっと通り過ぎようとした。

 そのとき、スライは肩を掴まれた。

「うわっ!?」

 突然のことにスライは驚き、肩を掴んだ腕の先を見る。黒スーツの男が、スライを見下ろしていた。

「手を離してくれよ。いきなり何するんだ!?」

 スライは抗議するが、黒スーツの男は眉一つ動かさずに云う。

「それはできない。君は知りすぎた」

「知りすぎたって……何のことだよ!?」

 別に男たちが話していることに、聞き耳を立ててなどいない。ただ横を通り過ぎようとしただけだ。男たちが何を話していたのか、全く知らない。

「俺はただ、横を通り過ぎようとしただけだ。だから早く話してくれ」

「それはできない。君は知りすぎた」

 ダメだ。こいつは聞く耳を持っていない。

「いいから、離してくれっ!」

 スライは男の腕を押しのける。すると、黒スーツの男は舌打ちをした。

「捕まえろ」

 黒スーツの男のその一言で、周りにいた男たちが一度に動き出した。スライは逃げる暇もなく、あっという間に両手と両足を拘束され、口をテープで塞がれる。

「んーっ!」

 スライは叫ぶが、口を塞がれているせいで、ほとんど声が出ない。暴れて逃げようとしても、手足を拘束されているために逃げられない。

 文字通り手も足も出ないスライを見て、男が云った。

「よし、連れていけ」

「んんーっ!」

 スライの抵抗も空しく、スライは停まっていた自動車のトランクに押し込まれた。トランクが閉じられ、完全な闇がスライを覆い尽くす。

「ボス、どうするんですか?」

「まず、戻ったら俺の部屋に連れてくるんだ」

 黒スーツの男が指示を出す。

「はっ!」

「話もまとまったし、そろそろ行くぞ」

 黒スーツの男が、自動車後部座席に乗り込む。他にいた男たちも、次々と停まっていた自動車に乗り込んでいく。先頭車がライトを点けると、後の車もライトを点けた。一台ずつ走り出し、人気のない通りから離れていった。



 続いていた振動が治まる。どうやら、自動車がエンジンを停めたらしい。

 真っ暗なトランクの中でスライが分かるのは、それだけだった。

 トランクが開くと、スライは男たちの手で外へと出された。辺りを見回し、似たような雰囲気の男たちが大勢いることに気がつく。どうやら、ここはマフィアのアジトらしい。

 とんでもないことになってしまった。

「よし、ボスの所に運べ」

 スライは地面に下ろされ、足の拘束を解かれた。それと同時に、横っ腹に冷たくて固いものが当てられる。スライはすぐにそれが銃だと分かった。

「妙なことはするなよ? 逃げようとしたり危害を加えるなら、容赦なく撃つからな」

 声が出せないスライは、頷くしかなかった。

 マフィアに連れてこられたのは、アジトの中の最も奥まった場所にある部屋だった。高価な家具が置かれ、奥のイスには一人の男が座っている。

「ボス、連れてきました」

 イスに座っていた男が、こちらに身体を向ける。先ほど、肩を掴んできた男だった。

 男は深く息を吐くと、ニヤリと笑った。

「こんばんは。私はニードル。いきなり無礼なことをして申し訳なかった」

 ニードルと名乗った男が云う。

「ちょっと聞かれるとまずいことを、君は聞いてしまった。それでこうするしか無かったんだ。本当に無礼なことをしたと思っている。君は何という名前なんだ? 聞かせてくれないかな?」

 スライの口から、テープが勢いよく剥がされる。走った激痛に、スライは一瞬顔をしかめた。

「俺はスライだ」

「スライ君か。君はちょっと聞いてはいけないことを、たまたま聞いてしまったんだ」

 ニードルはメモ帳にペンを走らせる。

「私の条件を君が飲んでくれるのなら、すぐにでも君を解放しようと思う。私の要求することはただ一つ」

 ニードルは立ち上がり、スライの前に立った。

「君が聞いた話を、全て忘れてくれることだ。飲んでくれるかね?」

 スライは口を開いた。

「さっきも云ったと思うけど、俺は何の話も聞いていない。あんたらが何を話していたかなんて、まるで知らないんだ。俺はただ、近くを通り過ぎようとしただけだ。別にスパイ行為とかしてたわけじゃない。いったいどうして、あんたらは俺が話を盗み聞きしたと思い込んでいるんだ?」

 スライの言葉に、ニードルは口の中で笑った。

「うーん、困るなぁ。君は本当に知り過ぎてしまったんだ。私の条件を飲んでくれるなら解放してあげたかったんだが、何かこちらから渡さないと、条件を飲んではくれないのかな?」

「別に欲しいものなんてない。ただ、俺は本当に何の話も聞いていないんだ。あんたらが何の話をしていたのか、俺には何の関係も無い」

 これ以上問いただしても、無駄だ。本当に、何も知らないんだから。

 スライはそう思っていたが、ニードルはそうとは思っていなかった。

「スライ君、これ以上私を困らせないでほしいなぁ。君が知っていることは、本当にまずいことなんだ。悪いことは云わない。聞いた話は全て忘れてくれ。そう約束してくれるなら、すぐにでも解放するから」

「……ニードルさん」

 スライが再び口を開く。

「おぉ、ようやく全て忘れてくれると約束してくれるのか」

 ニードルの期待は、裏切られた。

「さっきから何度も云ってるけど、俺は何も聞いていないんだ。第一、あんたら聞かれたくない話を、なんであんな誰が聞いてもおかしくない場所でしてるんだ?」

 スライは続ける。

「聞かれたくない話だったら、密室にでもこもってやれよ。こんな立派なアジト持っているなら、そうするもんだろ。それで横を通り過ぎようとしただけで、話を盗み聞きしたと決め込んで俺を拘束するなんて、どうかしてるぜ。これ以上は時間の無駄だ。早く俺を解放してくれ。何の価値も無いぞ」

 スライが云い終えると、ニードルは少し残念そうな顔をする。そして息を大きく吐き出した。

「もうよい。お前達、こいつを連れていけ」

「はっ!」

 両脇にいたマフィアが動き出し、スライの両肩を掴む。

「やめろ、何をする!?」

「牢屋に入れておけ」

「はっ!」

 スライはマフィアに連れられて、部屋から引きずり出される。

「やめろ! 離せ!」

「あんまり騒ぐと、こうだぞ?」

 マフィアがスライに銃口を向ける。これ以上騒いでも、無駄だ。

 スライは大人しく、マフィアに従った。



「痛てっ!」

 スライは尻もちをつく。両腕の拘束も解かれ、完全に身体は自由になった。しかしその代償として、スライは牢屋に入れられた。

「おい、出せ! 出してくれ!」

 スライは自分を連れてきたマフィアに云うが、マフィアは冷たい目で見るだけだった。

「一週間後に、お前をどうするか決める。それまでここで大人しくしていろ」

 そう云うと、マフィアはその場を立ち去った。灯りが消え、辺りは暗くなる。いつの間にか、すっかり夜になっていた。

 スライは鉄格子に手を掛ける。頑丈で、とても歯が立ちそうにない。鉄格子は南京錠で閉じられていたが、こちらも頑丈でビクともしなかった。

「くっそう……どうすれば出られるんだろう?」

 腕を組んで考え始めるスライ。何かいい方法は無いかと、スライは知恵を絞り始める。

 そのときだった。

「出られないよ」

 背後から声がした。

「誰っ!?」

 スライが後ろを振り向く。この牢屋には自分しかいないと思っていたスライは、声がした牢屋の隅を見つめる。

 月の光が窓から入り込み、暗い牢屋の中を照らした。すると、一人の少女が現れた。しかしその少女は、普通の人とは少し違ったところを持っていた。

「あっ……!」

 スライは目を見張る。少女の頭には獣のような耳が、腰には尻尾があった。清楚な服を身にまとった少女は立ち上がり、スライに近づいてきた。

「あなたは?」

「俺はスライだ。君は?」

「私はジェントリー」

 お互い自己紹介をする。

「……あの、私の顔に、何かついてますか?」

 ジェントリーから云われ、スライはジェントリーの顔を見つめていたことに気づいた。

「あ……いや、ゴメン、なんでもないよ!」

「そうですか……」

 変な人だとは思われていないらしい。スライは心の中でホッとする。

「それよりも、ジェントリーはどうしてこんなところに?」

「私は、見世物として売られたの」

 スライは目を見開く。予想の斜め上を行く言葉が、ジェントリーの口から飛び出したからだ。この少女は、見世物にされていたのか。

「この耳と尻尾のせいよ。耳と尻尾がある人なんて、そうはいないから」

 ジェントリーの云う通りだった。確かに獣のような耳と尻尾を持つ人は、そう滅多にお目にかかることは無い。スライも初めて見た。

「昔は施設にいたわ。でも、マフィアが多額の援助金を寄付する代わりに、私を施設から貰って行ったの。施設も二つ返事で、私をマフィアに引き渡した。今度、私は奴隷商人に売られることになったみたいなの」

 スライはじっと、ジェントリーの話に耳を傾ける。次から次へと出てくる信じがたい言葉の数々に、スライは耳を傾けずにはいられなかった。

 次第に、スライの中にある気持ちが生まれてきた。このまま、ジェントリーを放っておくわけにはいかない。

「……何とかして、ここから出ないとな」

 ジェントリーの話が終わると、スライは云った。

「それは無理よ」

 スライの言葉を、ジェントリーはすぐに否定する。

「マフィアからは逃れられない。これまでに何度も脱走を試みた人がいたけど、みんなすぐに捕まっていたわ。それに、脱走しようとすると、今よりもひどいことになるのよ」

 ジェントリーは悲しそうな表情をする。

「何もしないでいれば、とりあえず最低限の食事だけは保障してくれるわ。何もしない方がいいの」

「……確かに、今よりもひどいことになるのは嫌だな」

 スライは云う。

「だけど……俺は今のままでいるのも嫌だな」

 窓の外を見た。月が光を反射させながら、二人を見下ろしている。

「どんな手を使っても、意地でもここから脱出してやる」

 スライは拳を握りしめた。



 二人はその後も、いくらか言葉を交わした。スライも自分の事をいくらか話すと、ジェントリーは興味を抱いたのか、話を聞いてくれた。長いこと牢屋にいて、話し相手が欲しかったのかもしれない。

「ところで、その耳と尻尾は生まれつきなの?」

 スライがジェントリーの耳と尻尾に視線を向ける。

「え、これ……?」

「うん。嫌なら、いいんだけど……」

「……生まれつきよ」

 ジェントリーは云う。

「私はこの耳と尻尾のせいで、全てを奪われてきた」

「……どういうこと?」

 スライが首をかしげる。

「耳と尻尾があったせいで、人からずっと目をつけられてきたの。どこに行っても、この耳と尻尾は目立った。人目を気にしながら歩かなくちゃいけなくて、辛かった。何かあると、全て私のせいにされた。両親の顔も私は知らない。全て、この耳と尻尾のせいなの」

 ジェントリーは右手で耳を触り、虚ろな目で尻尾を見た。

「こんなもの、無ければ良かったのに……」

「……そんなに嫌?」

 スライが聞くと、ジェントリーは頷いた。

「俺は、そうは思わないけどな」

 そう云って、スライはジェントリーの尻尾を見る。尻尾が、ふわりと揺れた。

「獣の耳と尻尾、俺は別に変だとは思わないな」

「どうして……?」

 確かに珍しくはあるが、変だとは思わなかった。しかしどうしてそう思うのか、自分でも分からない。

「……単純に、そう思うから」

 そうとしか、今のスライには答えられなかった。



「どうも、いつもお世話になっております」

 ニードルの目の前に、一人の男が座っていた。男は奴隷商人だ。あちこちから商品となる奴隷を集めてきては、需要がある所へ売ることで商売をしている。

「いえいえ、こちらこそ。いつもいい商品をありがとうございます」

「実はですね、今回もいい商品になりそうなものがあるんですよ」

「ほう、一体どのようなものですか?」

 奴隷商人が身を乗り出す。ニードルはニヤリと笑うと、左手を横に伸ばした。すぐにマフィアが書類を手渡す。ニードルは書類の中から、数枚の写真を取り出して、奴隷商人の前に並べる。写真には、獣の耳と尻尾を持った少女が映っていた。

「おぉ、これは……!」

 奴隷商人が目を丸くする。写真を一枚一枚手に取り、じっくりと食い入るように見つめる。しばらく写真を見つめ続けた後、写真から顔を上げた奴隷商人が口を開く。

「この少女は、今どこに……?」

「我々が管理している牢屋にいます。上玉でなかなか出てこない代物ではないかと思いますが、いかがですか?」

「間違いなく、上玉です。マニアやその趣味を持つ者に、高値で取引できます。これは十年に一度、出るか出ないかの存在です」

 奴隷商人は懐から小型のそろばんを取り出すと、指で珠を弾き始めた。時々、写真を見ながら珠を弾いていき、計算を続ける。

 最後に珠を少し強く弾くと、奴隷商人は顔を上げた。

「是非、私に譲っていただけませんでしょうか? こちらで買い取らせていただきます」

 奴隷商人はペンを取り出し、小さな紙切れに数字を書いていく。紙切れに書かれた数字を見て、目を細める。

「……わかりました。今回も高く買っていただき、感謝します」

「取引成立ですね。それでは、商品のお引渡しなんですが、次の土曜日の夜でいかがでしょうか? それまでに代金と輸送手段を準備いたしますので」

「わかりました。それまでお取り置きします」

「ありがとうございます」

 ニードルと奴隷商人は、笑い合った。



 スライは堅い木のベンチで、横になっていた。慣れない場所だからか、なかなか寝付けない。脱出することと、この牢屋で出会ったジェントリーのことで、頭の中がいっぱいになっていた。

 これから、どうやってここを脱出すればいいのだろう。

 スライが脱出方法を考えていると、近くからすすり泣く声が聞こえてきた。驚いて声がした方を見ると、ジェントリーが横になりながら涙を流していた。

「……どうしたの?」

 スライが起き上がり、声を掛ける。するとジェントリーも起き上がり、流れていた涙を拭った。

「私、ずっと一人ぼっちだったの……」

 ジェントリーは云った。

「夜になると、どうしても心細くなって……それで気がついたら、いつもこうやって泣いていたの。何度も消えたい、死んでしまいたいって思って……」

「そうだったのか……」

 スライは少し腕を組んで考える。一分ほど牢屋の中に沈黙が流れてから、スライは再び口を開いた。

「俺も、一人ぼっちだったんだ」

「え、スライが?」

 ジェントリーは目を丸くする。

「友達がそんなに多い方じゃないからな。一人でいることの方が多かった。気がついてみれば、いつの間にか一人ぼっちになっていたんだ」

 スライは立ち上がり、ジェントリーが横になっていたベッドに腰掛ける。

「今はジェントリーがいるから、久々に一人じゃなくなった」

「あ……そ、そうね」

 戸惑いながらも、ジェントリーは合槌を打つ。

「……ジェントリー、こんな言葉知ってるか?」


 ――土曜日の夜は、奇跡を起こすのにこの上ない特別な時間帯である。


「え……いや、知らない。誰の言葉なの?」

「いや、俺も誰が云った言葉なのかは忘れた」

 スライの言葉に、少し肩を落とすジェントリー。

「でも、俺どういうわけか、この言葉が好きなんだ。今夜は土曜日の夜だ」

 スライはジェントリーに顔を向ける。真剣なまなざしで、ジェントリーを見据えた。

「ジェントリー。絶対に、ここから脱出しよう。今日はもう無理だけど、きっと次の土曜日の夜には、脱出できるよ。だからさ、もう消えたいとか死にたいとか、考えないでほしいな。俺も最初はどうなるかと思ったけど、ジェントリーに出会えて、なんとかなるかもしれないって思えたんだ。根拠は無いけどね。必ず、ここから一緒に出よう!」

 ふと気がつくと、スライは長いこと喋っていた。それに驚いたのか、ジェントリーは呆然とした表情で、スライを見つめている。

「あ……ゴメン、ちょっと一気に色々と云いすぎた。いきなりこんなに云われても、訳わかんないよね」

「ううん、そうじゃないの。ただ、スライって親切なんだって。そう思っただけ」

 ジェントリーの言葉に、スライは身体が熱くなるのを感じた。なんだろう、部屋の温度が上がったわけでもないのに、身体が熱い。

「スライ、私、もう一度だけ信じてみる。ここから一緒に出て、どこか安全な場所まで逃げたい」

「ジェントリー……」

 スライは胸が熱くなった。すると、ジェントリーがスライの手を取った。

「絶対、一緒に逃げよう……ね?」

「……あ、ありがとう」

 二人は、どこかぎこちない表情で、笑い合った。



 夜が明けた。眠っていた二人を、朝の日射しとマフィアの声が叩き起こす。

「ほらよ、飯だ」

 やってきたマフィアは、檻の隙間から紙袋を投げ入れる。紙袋からは、硬くなりかけのパンが出てきた。そして牢屋の床に水が入ったボトルと、円筒形の飯ごうを置いた。

「ボスの慈悲の心で、スープをつけてやる。ありがたくいただけよ」

 マフィアはそう云うと、牢屋を後にした。

「……朝食にしようか」

「ええ……」

二人はパンと水を分け合いながら、朝食にすることにした。これから次の土曜日の夜までの間に、少しでも食べて体力を養わなくてはいけない。共にここを出ると、約束したのだから。

飯ごうの中には、マフィアが云った通り、スープが入っていた。豆を中心に細切りにしたタマネギとジャガイモが入った、塩気の強いスープだった。

「うええ……しょっぱい」

 ジェントリーが口をゆがめる。スライも飲んでみたが、確かにスープは塩気があまりにも強すぎた。豆も固くて苦く、とてもじゃないが食べられるような代物ではない。スライも顔をしかめる。

「あいつらのボスが持つ慈悲の心なんて、上っ面だけだな」

 スライはそう吐き捨て、パンと水で口直しをした。

「ん……塩気が強いということは……」

 スライは独り言のように云うと、ふと視線をスープから別の場所に向けた。

「スライ、どうしたの?」

 ジェントリーが首をかしげる。

「……」

 スライは硬くなったパンを咀嚼しながら、スープと牢屋の扉を交互に見つめていた。

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