うきくさの話。(「未言屋」さまより)



翳り地かげりつち:雨雲が空に張られて、普段よりも辺りを暗く感じる景色。

伽雨とぎあめ:傘の中にも入り込んで、身に擦り寄り濡らす横吹きの雨。

透き月すきづき:太陽が明るい時間に月が透けるように薄いこと。

滴合しずくあう:水滴と水滴とが、混じり合ってひとつの水滴となること。

月溶湯つきどけゆ:ホットレモネードの事。




翳り地かごめやかごめかごの中夕日を沈めて遊びましょうか



あの女性ひとの首筋香る鈴蘭のような伽雨 ぼくを殺して



透き月の裏側ひそむ暗闇に沈み込むよう枯れてゆきたい



滴合う窓硝子から目を背け誤魔化すように玉葱を切る



薄暗き台所の隅ゆるゆると滲み入るやうに飲む月溶湯



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