一章

第12話

「ふう、とはいったものの......」

「なにをどうするかよね、はあ」

 堂々と啖呵を切ったが何かプランがあるわけでもない。ということで早速行き詰まる俺たち。

「そうね、まずは活動日から決めましょうか」

 あれ?毎日やるわけじゃないのか。ここ最近は毎日一緒にご飯を食べてた気がするのだが。

「毎日じゃ出る案も出ないかもしれないじゃない。それにわざわざ毎日そんな話をしなくたって、あなたと、友達と普通に話す時間もほしいじゃない」

「お、おう。ちょっと照れるな」

「て、照れないでよ!こっちも恥ずかしくなるでしょ」

「あ、ああ。それにしても活動日に何か行動を起こすわけでもないんだろ?わざわざ日にちを決めなくてもその時のノリでそういうのを話してもいいんじゃないのか?二人の共通の話題なんてたかが知れてるんだし」

「う~んまあそうなんだけどね。そこはこう気分っていうか、わざわざ会だなんて名前付けてるんだもの。そういう形から入ってみたいと思わない?」

 妙なところにこだわるな。そういうこだわりは嫌いではないがなんかこう......男みたい?

「今失礼なこと考えなかった?」

 急に無表情になる彼女。いつも教室で見る顔だがこの時ばかりは俺には般若のように思えた。

「決してそのようなことは考えておりません!そんなことよりもうそろそろ昼休みも終わる時間なんじゃないかな?そろそろ教室に戻るよ」

「あらほんと。あ、その前に連絡先を交換しておきましょうよ」

「そういえばまだしてなかったっけ」

 連絡先を交換してから俺は教室に戻った


「おっ!戻ってきたか樹!」

 俺が教室に戻ってくるといやにニヤニヤした俊之が話しかけてきた。

「なんだよ俊之その顔は」

「今朝のことだけどよ、みんな気になって気になってしょうがないみたいだぜ?」

 言われて言葉に詰まる。よくよく考えたら上野さんだけでなく俺も女子と話すのが苦手なのがそれなりに周知されててもおかしくない。そんな俺が急に上野さんに挨拶するなんてどう考えてもおかしいだろう。ここは適当に言って逃げてしまおう。

「いや、やる気を出したって言っただろ?手始めにまず上野さんに挨拶してみようと思って......」

「一体何のやる気なんだよ、それ。まあお前がそういう方向にやる気を出したんなら俺も応援しといてやるよ!はははは!」

 クラスの男子が一緒になって笑い始める。女子からはなんか少し変な目で見られている気がするが気のせいだろう。

 まあ何とかなったと思ったその時、俊之が俺の耳のそばで弾むようにボソッとつぶやいた。

「後でおもしろい話、聞かせてもらうぜ」

 やっぱりバレてますよね。こいつは昔から妙に勘が働くからなぁ。


 というわけで放課後。いつも通り二人で帰ってきた俺と俊之は早速俺の部屋で面と向かっていた。

 こいつのことは昔からの馴染みで信用している。だから俺は始業式の日からあったことをとりあえず一通り俊之に話した。

「なるほどねぇ」

 話しながら少し恥ずかしくなってきたがグッとこらえて今日の昼休みまでの説明を終えると黙って聞いていた俊之が相槌を打った。

「だから二人でカラオケがどうのとか聞いてきたわけね。それにしても互いに友達と認識する前にカラオケに二人で行くって、おまえらほんとに人付き合いが苦手なんだな。順序も何もあったもんじゃねえ」

「ごもっともです」

 経験がなかったからしょうがないよね!

「経験云々っていうよりもこれはあれだな。常識がないんじゃねえか?」

「上野さんは抜けてるからね」

 俺のせいじゃない俺のせいじゃない。

「それにしてもジャージって、お前男としては見られてないんだな」

「いいんだよっ!俺と彼女は友達だからな」

「ふうん。男女の間に友情って成立するもんかね?」

「怖いこと言うなよな。現に成立してるんだからいいだろ」

「いやまあそういう意味じゃないんだがな......まあ今はまだよさそうだな」

 どういう意味だろうか?

「それにしても想像してたよりも面白いことになってんなお前ら」

 いったい何を想像してたんだ

「まっさか上野さんがただのコミュ障でしかもコミュ障のお前と友達になったってんだから世の中わからないことばっかだよな。しかもその二人がコミュ障脱却を目指して協力体制取ってるんだもんな。向上心があるのかないのか」

「なんか失礼な物言いだな」

「それで、何か策はあるのか?」

「痛いところをついてきますね......とりあえずは二人でいろいろ話し合ってみる予定だけど、もしかしたらお前の力を借りるかもしれん」

「ああ別にいいよ。こんなに面白そうなことに首を突っ込まさせてくれるんなら大歓迎だぜ」

「まあその時になったらよろしく頼むよ」

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