「LJS 〜ラブジャンキーシンドローム〜」
clover cat
イケメン
「ほんとっ?じゃあすぐ降りるね!」
到着を知らせる、彼氏からの電話を切って…
マンション下の駐輪場に急いだ。
付き合ったばっかで、まだドキドキしながら、そこを目の前にすると…
一斉に注目を浴びる!
うわっ!なんなの!?
このイケメン集団わ!!
思わず面食らって立ち止まる私に、
「怖がんなくてい〜よォ?
こいつらヘビヴォの仲間ァ」
そう笑う、彼氏の
ヘビヴォってゆーのは、隼太がリーダーをしてるチーム…
Heavy Voiceの通称。
「
ちゃんとしたくて、ヘルプに呼んじゃったんだけど、いい?」
「うん!ぜんぜんいーよっ?
むしろっ、なんかすごい、っありがと!」
緊張感たっぷりな私を、
隼太がフッと妖艶な笑顔で包む。
それもドキッ、なんだけど…
てゆっか!
いつまで注目してんの〜ッ!
仲間のイケメン3人を前に、視線がフヨフヨ落ち着かない。
「そんな華奢で、単車転がすんだなァ?」
準太を含むこのメンバーの中で1番のイケメンが、ようやく注目タイムを打ち切って話を振ってきた。
「…うん!エストレヤ軽いしねっ」
そう顔を向けると、
改めてそのイケメンっぷりに胸がドキつく。
乗って来たと思われるバイクに座ってる そいつは…
軽く垂れ目がちな大きな瞳と、スッと通った鼻すじ。
このメンバーどころか、芸能人にも負けないくらいのイケメン。
「じゃあソレ、いっすか?」
今度はカワイイ系の美少年が、私の持ってるマフラーに手を伸ばす。
そう。今日隼太に来てもらったのは、この通販で買ったマフラーを、愛車エストレヤに取り付けてもらうため。
どこのバイク屋に頼もっかなって話をしたら、"俺がやったげよっかァ?"って。
なんて頼れる彼氏!
そんな頼れる色気だだ漏れの、妖艶な蛇顔イケメン隼太が…
「
呼びかけた相手は、ミステリアスでクールそうなイケメン。
準太と瞳が似てるけど、妖艶ってより力強いカンジ。
「座れば?」
作業に加わろうとした1番イケメンが、座ってたバイクを指差す。
「あ、ありがと…」
手持ち無沙汰で、なんか気まずいけど…
そのSRのシートに腰を落とした。
持ち主同様、このSRもかなりカッコい!
じっくり観察したいけど〜!
勝手にジロジロするの、悪いかなぁ…
と、とりあえず作業を眺める。
季節は初夏。
すでにウザったい暑さの中、汗をキラキラさせた、ビジュアルもキラキラなイケメン達。
ま、眩しい…
なんか、ものすっごく目の保養。
なんて私得なシチュエーション!
ヘビヴォって悪そうなイメージあったけど…
みんなイイコじゃん!
イイコ…
だって、隼太1コ下だし。
多分みんな年下だから。
てゆっか!
なに人にやらせといて、ノンキしてんの私!
なんか差し入れでもしなきゃ…
「ね、飲み物買って来るけど…
何がい?」
「んん〜?
莉愛は気ィ使わないで、ゆっくりしちゃっててよ」
そーゆーワケには…
「や、私も喉乾いちゃったからさぁ…」
「じゃあ俺、一緒行くっすよ?」
カワイイ系イケメンくんのフォローで、
「ん〜?じゃ任せるわァ」
ニッと、笑顔のチラ見を向けた隼太。
近くのコンビニへと向かう最中。
「えーと、リアさんっすよね?
俺、
カツって呼んで下さい」
「あ、うん。
カツくんって何歳?」
「俺っすかァ?17っすよー」
若っ!私の3コ下!?
「…って、高校生!?」
「ヤ、行ってないっすけどね…」
可愛い過ぎる顔で、気まずそうに笑う。
まぁ、一応ヤンキー?だろーし…
普通は行かないよね。
だけどカツくんは優しいコなんだろうナ。
一緒に来てくれたおかげで、みんなの
さりげないフォロー、助かったよ。
駐輪場に戻ると…
タバコを吸いながら、寛いでるイケメン達。
ふと愛車に目を向けると…
もう出来上がった様子。
「うそっ、もう終わったの!?」
「ん〜、こいつ整備屋だからね〜。
百人力だよォ?」
親指を1番イケメンに向けて、やんちゃに笑う隼太。
「すご!
そのSRも、カッコイイけど自分でイジったの!?」
思わず、1番イケメンに話を振ってみると。
「まーな。
「そーなんだ!?」
流れで、さっきチェックしなかったSRのマフラーを覗くと…
今取り付けてもらった、私のと同じ
「ね、ね、見ていっ!?」
テンションが上がって、かなりカスタムされたSRにもっと近づこーとすると…
「リアさん、コレ…」
カツくんが、持ってくれてた飲み物の袋を差し出した。
「あっ、そーだった!
えと、みんなお疲れですっ!
ありがと〜」
慌ててそれを配って…
改めて、ちゃんと愛車を眺める。
「どぉ?」
「…うん、…すごくイイ!
隼太!あとみんなもっ、ありがと〜っ!」
初カスタムの姿に見惚れて、再び感謝!
「見る?」
"あーっす"って差し入れを飲み始めてすぐ、さっきの続きを促してきた1番イケメン。
「見るっ!」
ソッコー近づいて、SRの観察開始!
「セパハンなんだ!乗りにくくない!?」
「バーカ、それを乗りこなしてなんぼだろ?」
「ゆーね!でもこのシートだとさぁ…」
盛り上がる私達を…
隼太は「単車バカだね〜」って、優しく笑う。
「…、隼太はもう乗らないの?」
「ど〜かなァ?
ま、ふつ〜車持ったら卒業デショ。
それに俺ら車屋だしィ?」
って、隣に座ってるクールイケメン…
イツキくんだっけ?の肩を組む。
「そっか…、だよね」
隼太は19歳って若さで、車屋を経営してるらしい。
主にネット販売みたいだけど…
隼太自身も愛車を3台所有してるって聞いた。
「今日も、いつものコイパに停めてるの?」
私の問いかけに、ニッと笑顔の頷きが返ってきて。
すかさずカツくんが…
「今日、BMのカブリオレっすよ!
俺も乗りたかったなー」
自慢気に零す。
「うっせ!
そう1番イケメンが、カツくんの頭をベシッと叩くと、ジャレ合い始める2人。
それを笑顔で眺めてると…
「じゃあ莉愛、俺ら行くねぇ」
って私の頭をポンポンする隼太。
「え、もう帰っちゃうの?」
「ん〜。明日の夜、また来るから。
イイコで待っててねェ?」
そう言って、私のおでこにキスを落とす。
そんな軽いキスでも色気たっぷりで。
仲間の前なのに、なんか大胆で…
こっちが照れるよっ!
もうっ、どっちが年上なんだか…
改めてお礼を言って見送ると…
1番イケメンがバイクを押しながら、カツくんと一緒に表に出て来た。
「…、なんで乗らないの?」
「あァ?
スパトラうるせんだから、これからはアンタも考えろよ」
驚いた!
や、私は元からちゃんと表でエンジンかけてるよ?
だけど…
ヘビヴォって、不良チームのはずだよね?
このコといい、カツくんといい…
ほんとイイコじゃん!
イツキくんはよくわかんないけど、
隼太だって優しいし…
みんな中身までイケメン過ぎっ!
「ぶはっ!目ン玉落っこちそーだな!
目ぇデケェから、びっくり目パねっ!」
いきなり笑い出す、1番イケメン…
失礼じゃないっ!?
「目がでっかいのは、お互い様でしょ!」
「ヤ、俺のは二重でデカく見えるだけだって。アンタのはパねぇ!宇宙人か!」
カッチーン!きた。
「私だって化粧でデカくしてるだけだもん!
てゆっか!失礼過ぎじゃないっ!?」
「ヤ、そんなカミングアウトきーてねぇし!
なんなんだアンタ、それ天然!?」
さらに笑いだすこの男に…
ワナワナワナっ…!
「まーまーまっ!
リアさんが可愛いってコトで!」
そこでカツくんが仲裁に入って、
ハッとする。
私ってば年下相手に、何ムキになってんの!
「えーと、ありがとカツくん。
じゃあ2人とも気をつけてっ」
ここは年上らしくサラッと切り替えて、
笑顔で見送る。と…
「俺、
って、1番イケメンから握手の手が差し出された。
なのに思わず!
「なにそれっ!
新撰組なりそこないっ!?」
沖田総司が好きな私は、つい吹き出してしまう!
「アンタなァァァ…
どっちが失礼なんだよっ!」
当然お怒りで。
差し出してた手が、私の頬を挟むように掴んできた!
「ごっ…、ごえんあはいいい!」
多分ブッサイクなアヒル顔で、慌てて謝罪。
「ぶっは!ヘンな顔っ!
つか、ヘンなオンナ…
だいたい、自分の名前はどーなんだよ?」
そう聞いて、頬を掴んでた手を放す。
「私っ?」
莉愛って聞いてなかったの?と思いつつ、頬をさすりながら…
「
せっかくちゃんと名乗ったのに。
「ふーん」ってメットを被って、
「じゃな」ってエンジンかけて、
ペコッとしたカツくんを乗っけて、去って行った。
ツッコミなしが、逆にツライ…
とりあえず、切り替えて。
私も、新しいマフラーでひとっ走り!
スパトラの、端切れのいい低音が心地いい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます