第四部エピローグ

紀樹からの手紙を開封することなく


私の恋は終わりを告げた。





『実結へ



お誕生日おめでとう。



結婚できないまま


二十代最後になってごめん。



文句を言いながらでも


そばにいてくれてありがとう。



寂しい思いや不安な思いをさせて


本当にごめん。



再来年、隆人が卒業したら


俺自身の生活の基盤を作るから


それまで待ってて欲しい。



三年後。


もし仕事が上手くいってなくても


他にトラブルが起きたとしても


その時は何があっても絶対に結婚してな。



借金が残ってても離さへんから(笑)。



思い描いてた理想とは違うかもしれんけど


実結がいることが俺の幸せやから。



ずっと守って生きていきたい。



どんなことがあっても


俺たちなら乗り越えていける。



人生の最期まで


俺と添い遂げて幸せだったと


思わせてみせるから。



実結の幸せが俺といることであるように


ずっと願ってる。



心から愛してるよ。




紀樹』





読んでいたとしても


私が紀樹から離れる決意は


変わらなかったと思う。




一緒に過ごした三年は刹那だったのに


未来を待つための三年は永遠に感じられた。




紀樹の願った私の幸せだけが


いつまでも色褪せない。




離れてからの時も瞬く間に過ぎたのに


切なさだけがあの日のまま。




この気持ちが終わる日を


今の私は願い続けてる。










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