普通のあり方と不思議な子
@sinomiyu
第1話
久しぶりの学校に緊張して新しいクラスの扉を開ける。ガラララララ……
生徒はまだ誰も居なく乱雑に並べられた机や椅子を見ながら自分の席に着く。
来るのが少し早すぎたか……
そう呟いたのは瀬良隼人(せらはやと)
無口で集団に属さず、だからといっていじめられることも無く、空気という訳でもない。
そう、出すぎる事は無く存在が薄すぎることも無いというちょうどいい感じだ。
他の生徒からは「普通」と言われている。
そんな中瀬良は思う。普通って何だろうと。
……そんな事を考えていると。
ガラララララ……!
急に勢いよく扉が開く。
と同時に「おっはよー!」
瀬良はまず驚いた。生徒は俺以外誰もいない。
新しいクラス。緊張してもいいものだが
ものすごい大声で挨拶している。
他の人からしたら元気な女の子で済むだろう。
ただ、俺からしたら異常事態だ。
「初めまして!よろしくね!私は二ノ宮明日香(にのみやあすか)」
少し困惑する。名前も知らない人にここまで友好的に接する何て外国人かと思う。戸惑いながら「よろしく、名前は瀬良隼人」とだけ告げて本を読む。ふと彼女の方を見ると何と寝ていた。
緊張とは何なのか……初対面の自分の前で何を気にすること無く指定されていた自分の席で寝ている。心の中で思う不思議な子だな。
これが普通なのか僕がおかしいのか。
そんな事を考えているうちに次々と生徒が来て
挨拶もそこそこに席に着く。やっぱりこれが普通なのだ。彼女はまだ寝ている。
席の隣の人に軽く会釈をして先生を待つ。
この間さっきの二ノ宮さんについて考えようとしたその時……ガラララララ……
もう考えようとしたら扉開くのはお約束かフラグか……
「おはよう!今日から担任になる小山田だ
これからよろしく」と簡潔に述べると……
また小山田かよと一年から一緒の生徒が愚痴をこぼす。俺は小山田先生は初対面だが噂は聞いている。授業がとにかく面白いらしい。どのように面白いかは分からないが。
そして小山田は気づく。皆が無駄に姿勢よくしてる中1人だけだらーんと力を完全に抜いて机に突っ伏して寝ている彼女に。
慣れてきてこれならまだ分かるが小山田から見ても相当度胸があるなと思った。初日1発目で爆睡である。小山田はゆっくりと二ノ宮に近づき
「おい、起きろ」と投げかける。が、彼女は起きない。小山田は困って揺すりながら起こそうとしたその時、「ヤバイ、ポーション使いわすれた!」教室は一旦シーンとして爆笑の渦が発生した。おそらくゲームのやりすぎか。夢の中でゲームでもやって居たのか。先生まで爆笑している。小山田はひとしきり笑ったあと
「ようやく起きたな。初日で寝るとはいい度胸だな。後で職員室に来なさい。」小山田は呆れたように言う。すると二ノ宮は
「もう一回寝たら行きますね!」
「お前反省してないだろ!」
思わず俺は突っ込んだ。大声で。
「なんだ知り合いか?」と小山田が聞く。
普通のあり方と不思議な子 @sinomiyu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。普通のあり方と不思議な子の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます