支配のあそび
シスターの話しを聞いて僕たちはそれぞれの時間を過ごしてた。色々とあったからね。ブリンとかもまだ気を失ってるし、少し休んでからの方がいいかなって……それに目的は定まったんだ。シスターの話によれば、どうかんがえてもその音楽家の男が怪しい。というか黒幕だろう。多分魔物の類。音楽を聞かせる魔物なんて聞いたこともないが、魔物はいつだって自分たちの常識には当てはまらない。
「悲しいことです」
「何が?」
自分の肩に乗ってるピンクのスライムがそんなことを言う。本当、こいつは変わってる。魔物があんな話を聞いて悲しいって……魔物なら「流石だな」くらい思いそうなもののような気がするが……
「魔物という一括りで一緒にしないでください。戦いを好まない者たちもたくさんいるのです。ただ……」
「ただ?」
スライムは何を言おうとしたのか、そこで言葉は途切れた。言い出しにくいことなのだろうか? なんとなく気になるからしばらく沈黙がおりる。教会の一番広い礼拝堂……そこを上から眺めれる場所で、なんとなく神様と天使が描かれた大きな絵を見てる。救いはあるのか……ここの人たちの顔は皆、非常に暗かった。この状況で明るかったそれも異常だけどさ……けどもう自分たちもいつ、外の奴らと同じになるか……それに怯えて明日に希望なんて無いような表情だった。
(こんな時……僕が、『勇者が来たからもう安心だ』とか言えたら、きっと違うんだろうな)
それが出来れば、皆に希望を与えられる。でも自分にはその力もそして勇気もなかった。それは自分が一番自分を知ってるから。下手な希望を持たせるのはどうかと……ね。もちろんこのまま、ここにいつまでもとどまるつもりはない。それはドラゴもメルルもそのはずだ。自分たちは目的があるのだから。だからやるだけの事はやる。でも相手は死者を操る術を持つ音楽家。どんな戦いになるかはわからない。下手に希望だけ見せるって自分にはできないんだ。
勇者ならもっと自信満々でいけって感じだが……それが出来れは苦労はしない。それに自信だけで突っ走る力がないことは自分が一番よくわかってるんだ。そんなことを一人夢想してると、ようやくスライムが続きを口ずさむ。
「私たちは魔王様の影響からは逃れられない。あの方が戦えといえば戦うしかなく、死ねといえば死ぬしかない。それが魔王という存在で、全ての魔物はその支配から脱することはできないのです。いくら望ま無戦いをするしかなくても。だからすべての魔物が人を殺したいとか……おもわないでください」
「そう……なんだ。けどお前はどうなの? 魔王から支配されてるようには見えないが?」
だってそれなら、こんなふうに一緒に行動なんてできないはずでは? するとスライムは神妙な声でこういった。
「私は……厳密にはスライムではないのですよ」
「それって?」
ピンクなスライムだからとかそんな理由……ではなさそうなんだか、詳細を聞こうとしたけど「戻りましょう」とか言ってはぐらかされた。とりあえずブリンを寝かしてた倉庫に戻ると、皆もすでに集まってた。そしてブリンも目を覚ましてる。そして目を覚ましたブリンはこういった。
「匂ぶ……ぞ。濃いじの匂いが……そこまでぎでる」
すると突然、大きく協会が揺れた。自分たちという変化のせいなのかどうなのか……どうやら、向こうも動き出したようだ。
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