第51話 快調
メルルが製薬した薬を村の人々に飲ませてく。かなり苦く飲み辛いのか、それが中々に大変だった。特に小さな子どもとか、吐き出すし。飲み込む力事態が弱まってる人とかはもう口を塞いで無理矢理……しか無かった。
「後はこれが効くことを願うしか無いな」
メルルの瞳が少し陰る。メルルも不安なんだろう。けどそんなメルルの手をアレッサちゃんが優しくとった。
「大丈夫だよ。おねえちゃん頑張ってたもん」
「グオーグがー」
アレッサちゃんの言葉はきっとメルルの疲れを癒やしてくれるだろう。けどその足元に居るやつは蹴り飛ばしていいかな? めちゃくちゃ不気味なんだけど。ニュアンス的にアレッサちゃんと同じようにメルルを励ましたのかな? けどこのうさオークに励まされてもね。アレッサちゃんはとてもこのうさオークを気に入ってるようだけと、この村の人達きっとびっくりするよ。
馬車に押し込めてたほうがいい気がする。
「取り敢えず今日はもう休もう。そんなにすぐ効くものでもないんだろ?」
「うん……一晩は様子みないと」
ドラゴのその言葉にメルルはそう返す。てな訳で、食事の準備をして早めに横に成ることに。村の中は病人にでいっぱいだから、結局は馬車の方で寝ることに。馬車の中はアレッサちゃんとメルル……とうさオーク。そこだけは納得できない。が、アレッサちゃんがうさオークと一緒じゃなきゃやだっていうから仕方ない。本当にあの不気味な生物の何処がそんなにいいのか……アレッサちゃんの感性は独特だよ。
そんな風にうさオークに嫉妬を覚えながらも夜は更けていった。
朝、薬の効き目が出てるか確かめる為に家々を回る。メルルの薬はかなりの効き目だったのか、起き上がる事が出来るようになってる人達が幾人かいた。
「これは効いてるってことだよな」
「他に何があるんだよ」
感謝の念を伝えられて困り顔のメルルの後ろで、自分とドラゴはそんなやり取りを小さな声でしてる。てかこれから行く家全てでこんな感謝をメルル伝えられることになるだろう。
「めんどうくさい……」
「なんて事を……」
メルルはあんまり人と接するのが得意じゃない。だから感謝とはいえ……いや寧ろ、感謝だからこそないがしろにできないって事なんだろう。一通り周って何故か昨日よりも疲れてるメルル。代わりに村には少し活気が戻った気がする。けど、まだ全員が治ったわけじゃない。もう何日かは滞在する必要がありそう。流石に全員が治るまで……なんてのは無理だけど、確実に快調の兆しが見えるくらいは良いだろう。
まあその間、メルルの気力が減り続けそうだけど、メルルだって中途半端は嫌だろうから頑張るだろう。そして更に二日……それだけ経てば、来た時とは見違える村へとなってた。
こういうことも大切だな……そう思った。
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