第46話 勝利?

 戻ってみるとゴブリン達はかなり追い詰められてた。ブリンを先頭に生き残ってる奴等がより固まってるけど、そもそももうみんな満身創痍しかいない。メルルの回復でも間に合ってない? 木々に隠れてるメルルに視線を送ると、頭をフルフルと振るう。どうやらサボってたわけではなさそう。アレかな? なるべく自然に分からない程度で回復魔法をかけてたから、ダメージが蓄積でブリンはああなったのかもしれない。

 なんだかんだ無茶するやつだしな。きっと他のゴブリンとかも守ってたんだろう。まだなんとか二桁ゴブリン達は残ってるが、その誰もがボロボロだ。それに比べて、オーク共はまだ余裕が見える。ゴブリン達もなんとか二桁倒してるが、減り方はゴブリンの方が圧倒的に多い。にじり寄るオーク。それを牽制するようにブリンがその剣を前に突き出してる。けどその剣先はプルプルとふるえてる。

 ブルンも限界来てるっぽい。けどゴブリン達に自分達の介入を知られる訳にはいかない。だからブリンにはまだ頑張ってもらわないとな。そろそろこいつの出番かな? 一斉にオーク共がゴブリンに襲いかかる。そのタイミングに自分はウサギの身体にオークの頭がくっついた気持ち悪い生き物を投げてやった。綺麗な弧を描いてゴブリンとオークの間にシュタッと降り立つその生き物。

 

「ぐがあああああああ!!」


 そうゴブリン達に威嚇するその生き物。まあ頭はオークだからね。オーク側の気持ちなんだろう。けど……そのオーク達も止まってる。そしてゴブリン達はいわずもがな。けどブリンだけは違った。素早くその気持ち悪い生き物に剣を振り下ろす。けどウサギの身体だけあって素早く避ける。どうやら大分バランスも取れて来たのか、デカすぎる顔の扱いにも慣れてきたよう。

 けど、今度はその避けた先のオークがデカイ棍棒を振り下ろす。それには流石にビビったようで、なんとか避けたけど、転がってく。仲間に抗議するかのように、声を出すうさオークだけど、それに耳を貸すオークは居なかった。何故か我先にとそのうさオークを殺しにかかる。それを察したうさオークは逃げ出した。そしてそのままオーク達を引き連れていく。

 

「どういうことだ?」


 どうにかなるかな? とは思ったが、オーク共がどっか行くとは思ってなかった。

 

「ボスを倒して次期ボスになろうとしてるんじゃないか? オークもあんなのがボスとは認められないだろうしな」

「なるほど」


 確かにあんな謎生物がボスとは威厳に関わりそうではある。それならあんなに必死になるかもな。ポカーンとしてるゴブリン達。だが、ブリンが掲げた手に奴等は歓喜した。勝利……かは微妙だが、彼等はそう思って声を上げる。自分達はその場にへたり込む。あの隻眼オークとの戦いの傷が今頃傷んできた気がする。メルルに治して貰おう。

 けどこれで……

 

「あれ? 何しに来たんだっけ?」

「それはアレだろ? ゴブリン達を救いに……」

「いや、違うから」


 そんな事を言ってると身体が光に包まれる。そしてメルルの奴がこういった。

 

「薬草の群生地のため……だよ」

「「それか」」


 二人してそんな言葉を発した。だってね……寄り道しすぎて目的忘れてたよ。けどこれでどうにか……どうにかなるか? ブリンはもう英雄みたいなものだし、解放されるだろうか? そしてその不安は的中した。ゴブリン達はなかなかブリンを開放せずに宴三昧。このままじゃ拉致があかない。てな訳で一芝居打つことにした。

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