第57話 迸る稲妻


 何か手懸かりは無いか?

 3人は生き残りを探した…


「ぅぅ…」

 シムが瀕死の剣士を見つけた!

「ダイさぁん!こっちぃ~」

 すぐさまダイ、バトが駆け寄る。


「おい!あんた!何にやられた?!」

 ダイが呼び掛けるも瀕死で声が出せないようだ…

 見た目から察するにキャラバンの用心棒だろうか。


「薬草がある。飲ませて回復を待とう」

 バトが冷静な判断でシムに薬草を磨り潰すよう手渡した。


 潰して飲みやすくなった薬草をゆっくりと剣士に与える…


 待つこと、半日。

 辺りは夕闇が迫り、そろそろ野宿の準備もしなくてはならない。


「ぅ…」

 瀕死だった剣士が意識を取り戻した!


「声は出るか?」

 今度は優しく声をかけるダイ。


「ぁ、ありがとぅ…少し、話せそうだ…」


「やったねぇ~」

 ガッツポーズを取るシム。だがこのタイミングではあまり相応とは言えなかった。


 剣士はゆっくりと語り始めた…


 …………


 俺たちは東の魔法都市から来た…

 いつもの旅商人の護衛だったし、長年連れ添った仲間と一緒で何の心配もしていなかった。


 だが、今回の敵はこの辺では見たこともない化け物だった。


 俺達だって上級クエストをクリアできる位の実力はあるパーティーだったのに、奴の強さは群を抜いていた。


 圧倒的な力でキャラバンもパーティーも全滅しちまった…


 …………


「そいつはどんなにやつだ?!」


「シルエットはドラゴンかと思ったが…、翼はなかった。馬鹿でかいトカゲと言った方が近いようなやつだ…」

 思い出すだけでみるみる剣士の顔が青ざめる。

 よほど恐ろしい目に遭ったのだろう…


「地竜…か?」

 半信半疑ながらもバトが口を開く。


「馬鹿な!地竜がこんなサバンナまで降りてくるはずがない」

 ダイが否定するも、疑ってるわけではない、そうは信じたくないといった表情をしている。


「でもぉ、この暴れよう…竜族なんじゃなぃかなぁ?」

 戦場跡を見渡しながらシムは分析する。


「それに地竜だとしたら、中級クエストのはずがない」


「それは、この辺を荒らしている盗賊たちだ…、最近はキャラバンが多く王都に向かっていたから、狙って現れていたのは間違いない」


 その為の護衛をしていた。彼の情報に嘘偽りは無さそうだ…


「盗賊討伐は後続のパーティーでも可能だ、俺たちはそのトカゲを探そう」

 まさに戦士としてのバトの進言。


「竜族相手に俺達3人でか?」

 ダイは慎重な男だ。キャラバン隊を壊滅させた仇は討ってやりたいが…


「やろぅよぉ、班長ぉ」

 シムもバトに賛成のようだ。恐怖よりも強い魔物と戦えることに興味があるように見える。


「言い出したら聞かねえからな、お前らは…、仕方ねぇな」


 3人は明朝より馬鹿でかいトカゲ(地竜かもしれない魔物)を追うことに決めた。


 夜空には目映く一筋の流星が稲光のように流れていた…

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