16.10.28-01

久々に雨らしい雨が降った。

そのせいだろうか、ついに息が白くなった。


調べたところ息が白くなるのは気温が13度以下であることが

大きな目安であるという。雨天時などはより白く見えやすいらしいが、

この近辺は本日最低気温が2桁を割ったらしいので、

十分に寒かったが故であろう。


明日からまた気温が少し上がるようだが、いよいよ秋も終わるのかという、

予感のような寒さだった。


私の中では紅葉が冬の入口というイメージである。

日本は縦長なので北と南で1ヶ月ぐらいは時期がずれるが、

大体11月が紅葉の通過する月である。

10月だとまだ秋だが、12月はもう冬である、という印象なので、

おおよそ11月の中で季節が変わっていくのだろう。


桜前線が南からやって来て、紅葉が北からやって来る。

気温を考えれば当たり前の事なのだが、面白いなと感じる。

東京に住んでいると、それは過去と未来のようなものだな、とも思える。


桜が散った南の過去は、やがてもみじ色づく未来へと。

時間が本当に一方通行なのか、そんなのことも考えさせられる。


桜が散った頃に北に向けて旅をすれば、ちょっとしたタイムトラベルのように

感じるかもしれない。


それは散った桜を思い出す過去への旅か、

それとも、これから咲く桜を探す未来への旅か。


そういえば、百人一首にある小野小町の


「花の色は うつりにけりな いたづらに

      わが身世にふる ながめせしまに」


という短歌を、私は「花の色が移り変わるように」という意味だと思って

いたのだが、本当は「花の色は虚しくあせてしまった」という解釈であると

最近知った。よく考えれば花=桜なので、桜の花が移り変わるというのは

あまり考えられない光景である。桜は散るもので、枯れるものではない。


桜が過去であろうが未来であろうが、

この白い息が消える頃にはそれが今になっている。

そうやって1年は簡単に流れていくのだ。

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