風呂、地ビール、哲学
最近は夕食の前に風呂に入ることにしている。というのも、妻が飲めもしない地ビールに凝って、夕食のときに出してくるからだ。ビールは好きだし文句はないが、ことの経緯は気になっている。
「なあ、なんで地ビールなんだ」
「ボトルが凝っててかわいいのよ。それに、地域に合ったデザインとか素材で、ちょっとした旅行気分で楽しいの」
「お前は飲めないだろう。ほかにもジュースとか菓子とか、色々あるだろうに何でまた」
「最近また太っちゃったもの。これ以上カロリー摂れないわ。あなたビール好きでしょ、いつも喜んでもらえて嬉しいから」
なんだか釈然としないが、もらえるものはありがたくもらっておく。
「今日のはヴァイツェンですって。小麦のビール」
「バ、なんだって? いつの間に詳しくなったんだ。むかし俺と哲学の話をしたいとかで本読んでた頃は、哲学者の名前も一切覚えられなかったのに」
「こういうのは相性ってものがあるのよ。興味の問題だけじゃないわ」
やっぱり釈然としないが、妻の選んだビールは今日も美味かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます