第27話「アイアンテイカー」

 放課後のメイザードといわれた少女神奈。

 しかし今の彼女はまだ一度戦いを得た少女に過ぎない。

「頌子がそういうのも無理はないけど、どのみちやるべきことは一つね」

「ちひろ、それ前にも聞いたわよ」

「と。ごめんなさい、神奈」

「いずれにしても親しい人は守りたいからね」

 そんな頌子にちひろは頷く。

「そうね。来るなら来てみなさいよ、ニューワールド!」

「余裕ぶっていたら危ない気もするけどね」

「神奈は不吉なことをいわないの!」

「だけど事実ではあるわよ、ちひろ。いくら魔力が精神力も関わるといっても」

「油断禁物ってわけよね?それに私は冷静よ」

「本当に冷静なんだか……」

 あきれ顔の頌子に、神奈は返す。

「ちひろは上げる時は上げる子だからね」

「それは分かっているけど、つい」

「まああの子については心配いらないと思うわよ」

 そしてその日の放課後。

「私はアルファール」

「俺はデルタジア」

「そしてこのオメガリア」

「私達は帰ってきた!」

 仰々しいアルファール達に、神奈はこう突っ込む。

「さすがはテロリストってことかしら。その仰々しさは目を見張る者ね」

「テロリスト、か。所詮お前たちも新世界には不要な存在!」

 するとアルファールは街灯を元にマジカルガイストを形成していたのだった。

「そうはいかないわよ、みんな!」

 神奈がそういうと三人は右手を横に突き出し、一斉にこう叫んでいた。

「マジカルゲート、オープン!」

 すると小さいピンクの魔法陣が右手から現れ、そこから杖が取り出される。

 杖の先には魔法陣があった。

 周囲の花粉を材料として杖を形成していたのだった。

 そして彼女たちは杖を正面に構えるとこう叫んでいた。

「マジカルゲート、コネクション!」

 すると彼女たちが光に包まれ、衣服が魔法少女のそれへと変化する。

 制服を素材として衣装が形成されていくのだった。

「魔法少女メイザード☆かみな!」

「魔法少女ウインド☆しょうこ!」

「魔法少女アイアン☆ちひろ!」

「我ら、放課後魔法少女隊!」

 最後に三人そろえた名乗りを聞いたアルファールはこういう。

「それで対抗してくるか!だが……!」

「街灯なら、鉄は多いわね」

「ふん。このマジカルガイストを再形成することは不可能!」

 アルファールは胸を張るが、ちひろはこう返す。

「魔力で溢れている以上、形成解除には耐性がある。けど!」

「ええ、溶解は任せて!メイザードファイア!」

「私がそこを補うわ。ウインドフロー!」

 ウインドフローを見たアルファールは思わず驚く。

「そんな微弱な風のために魔力を振り絞るとは!」

「これは連携に使うための技。強い風では炎を吹き消すからね」

「だが、いくら何でも炎の温度が足りまい」

 アルファールの予測に、神奈は返す。

「この炎は落ちてくる五階建てビルを焼くのが手一杯。でも、風が吹けば!」

 五階建てビルを焼けるのって凄くないか、とかいってはいけない。

 魔力を振り絞ってそのくらいの威力しか発揮できないのはかなり痛手だし、

その炎はすぐに消えてしまうのだ。

 だがその炎も風にあおられて鉄を燃やそうとする。

「ちい、焼かれるのか!」

 マジカルガイストの鉄部分は焼け落ちていこうとする。

「離れた鉄なら、魔力による形成阻止も働きにくいはず」

 落ちそうなマジカルガイストの鉄部分をキャッチし、

彼女は上空へと浮かび上がる。

「その鉄をそのまま投げ込むつもりか?」

「形成するっていうのを忘れたの、アルファールさん?」

 そういうとちひろはマジカルガイストに鉄を投げつつ叫んだ。

「アイアンランサー!」

 投げた鉄はそのまま再形成され、複数の槍となって降り注ぐ。

 その槍によって電球になっていた部分を砕かれ、

マジカルガイストは機能停止した。

「それが狙いならわざわざ再形成せずとも良かったものを。だが、覚えてろ!」

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