生き残るお店

小学生の頃、外食はイベントだった。

よそいきの服と靴で出かけた。

町の洋食屋さんか天ぷら屋さん。

洋食屋さんではABCのセットから注文、それぞれメインがステーキかハンバーグかエビフライ、クリームコロッケとポテトフライにたくさんのキャベツにパセリが付いてきた。

迷った末に選ぶエビフライに、デザートのプリンは要らないから、タルタルソースをもっともっともっといっぱいかけて欲しかった。

「天ぷらは天ぷら屋さんで食べるもの」と天ぷら大好き親父が言う訳は小学生の私にもよくわかった。大きな海老と旬の白身魚は本当においしかった。さつま芋が好きな弟が不思議だった。

外食はイベントだった。


「あのお店に行こう」

もう、この気持ちしかない。


どんな人がどんなお酒や料理を、どんな気持ちで提供しているのかを知ったお店に行こう


おもてなしよりも大切なこと、商品が持つ価値に真摯に向き合っている人のお店に行こう


店という空間にあるものすべて、自分さえも大切にしている人に会いに行こう


少しだけ、よそいきの格好で


そこには価値観や常識が似たような人が、自然と集まるから、安心して素敵な時間が過ごせる


新しい生活様式でもなんでもないなぁ

当たり前のことを思い出した

もう一度 お店を持ちたいなぁ


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