定食屋の言い訳
看板は割れている。
暖簾は破れている。
ショーケースにあるラーメンのサンプルは、もはやどんぶりだけで750円。
黒ずんだオレンジ色のカウンターや椅子、床のてかりは食用油だろう。
換気扇は油の羽が動いているに過ぎない。
フライヤーにはてぼやレードルが突っ込まれている。
壁に貼られたお品書きのほとんどは価格が書き直されている。
ここはもう40年も営業してるんだ
最近は近くに新しいレストランができたから客足が遠のいてるんだ
汚いのも歴史だ、味のうちだぞ
笑えないな。
白いビニール袋に入ったままの野菜とスーパーで買ってきた肉。
段ボールからあふれる空瓶。
くすんだグラス、欠けた皿。
炭化した汚れが付いた中華鍋。
せめて包丁だけは凄みがあってほしかった。
1点でも調理に真剣に向き合っていることが証明できる道具がほしかった。
これが歴史か?
開店当初からこんな店だったのか?
掃除は面倒か?
調理器具が汚れているのに料理がまともにできるのか?
言い訳はこの先もずっと続くのか?
店が台無しになっているのは
世の中のせいではない。
あなたのせいだ。
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