第11話 友達

俺は西沢と約束をした夜からタイマー時計で毎朝起きられるように

スタンバイしていた。

俺たちの日常は朝、俺はタイマーの音で目がさめる。

眠気をとるために朝シャンをして顔を洗う。

そりゃ始めたばかりの時は2度寝しそうになったこともあるし

タイマーのセットをし忘れて間に合わない時は直接家に電話して

なんとか俺はその当たり前の日々を送ることができていたんだ。


準備が出来たら学校と反対方向の西沢の家に向かって

西沢が出てくるのをいつも待つ。

そして登下校の時は日常のたわいもない会話をしていたんだ。


会話をしてたとは言っても時には話題に詰まったりすることもあった。

だから色んな事に興味を持つことから始めようとしたんだ。


「今日も疲れたね新城くん」

「そうだなぁ、俺勉強苦手じゃないけどあんまり暗記科目は

得意じゃ無いんだよな」

「私はね、算数がちょっと苦手なんだ。なんか難しいの」

「算数か…どういうところが分からないんだ?」

「そのね数式がパッ!っと出た時に意味が分からなくなるの」

「数式は式自体で考えるより理屈を覚えた方がいいからな」

「理屈ってなに?」

「そりゃ物事を順序立てて考えてくことさ。まずは土台があって

その次に何をしなければいけないか?そしてどうつなげればいいかを

考えるんだよ」

「ごめーん意味がわかんない」

「ああ、言った俺もそんな気がしてきた…」


「あのね新城くん、ありがとね」

「ん?」

「私ようやくクラスの子とも少しずつだけど話せるようになったんだ。

今まではみんな何を考えてるか分からなかったけど新城くんのおかげで

なんとなく分かった気がするんだ」

「そりゃよかったな」

「私たちもう友達でいいよね」

「当然だろ」

「ならかつやくんって呼んでいい」

「いいよ別に。その方が呼びやすいならさ」

「やったーじゃあ今日も帰ろかつやくん」


俺たちはこれだけの時間を経てようやく友達同士になれたんだ。

最初はお互いのことを知らないから、なかなか仲良くなれなかったけど

一緒に時間を過ごすことで次第にその心の距離は狭まったんだ。

俺たちはこれで本当の友人としてお互いを信頼できるようになれたんだ。




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