第43話イベントボス戦 ドンクルハイト
皆から必要な物資を預かり、脱兎で左側の林に突っ込みそのまま林の中も突破して、左側の最前線より少し前に出たところで一旦止まり、魔法を掛ける。
「ウォーターベール」
ダメージを軽減する薄い膜が貼られた。
「ファイヤーエンチャント」
武器に火属性が付き、攻撃力が一割増しになった。
「クライネウォーク」
足の早さが一割増す。これで時速約四百kmになるはずだ。
林から抜け出すと敵がこちらに気が付く。右手に槍を持ち左手には燃える水を持つ。そして脱兎をしながら燃える水をばら撒くが何かおかしい。
脱兎の速度が想像以上に早いしもっと距離が進んでいるような気がする。普段四秒で四百mなら、一割増しなら四秒で四百四十mじゃないのか?
何だろう五百m近く進んだ気がするし、敵のオークやゴブリンなどの低レベル帯の敵だと一撃で死んでいる気がする。効果が良い事を考えても仕方ないので敵を倒しまくる。
脱兎をしながら進むその光景は、雪国の除雪車やラッセル車のような感じで敵の群れの中を突き進む。飛ばされる敵は高いもので十mくらいまでの高さまで飛んでいるようだ。
だいたい一回の脱兎で六百~千未満の敵が吹っ飛んでいるように思える。四回程北に脱兎したら敵の群れを抜けた。
「クライネファイヤー」
ばら撒いた油に火がつき、火力は強くないが火が脱兎で通ってきたところに線となって連なっていく。効果はイマイチそうだった。
よし、皆から見てもう少し右側、振り返った私から見て左側の敵に対して脱兎で突撃を掛ける。今度は敵が後ろ向いているので、ダメージがより多く入っている気がする。
脱兎を五回ほど繰り返したら味方の前線部隊の手前まできてしまった。前線の人たちがびっくりしていたようなので、軽く手を振ってから再度敵の中に突っ込む。
遠くからでも敵が空に舞い上がっているのが見えるようで、
「ターマーヤー」「カーギーヤー」
って声が聞こえる。確かにランタンの明かりが飛んでいくのは花火のようだ。脱兎四回でまた最北に到着した。ふむ、それじゃあ……
「クライネファイヤー」
で燃える水が掛かった敵に火が付いていく、慌ててバタバタ消すくらいのダメージしか入っていないが、そこを脱兎で後ろからぶっ飛ばしていくと、夜空にランタンの明かりよりも明るいものが多数打ち上がる。
脱兎三回目で、また歓声が聞こえる。
「ううおーー!!」「ターマーヤー」「カーギーヤー」
楽しんでもらえているようで良かった。そろそろ在庫も無くなるしもっと真面目に敵を倒すかな。
往復二十五回くらいだろうか。MPが切れてきたので、最北についたタイミングで一旦座ってスタミナ焼肉を食べる。イベントのウインドウを見ると私の倒した数が六万を超えていた。
まだエンチャントが残っているので、ここでMP回復を長くするのは勿体無い。スタミナ焼肉を二個食べた所で脱兎を繰り返す。追加で五往復したところで再度最北で休憩する。
ライブビューイングの画面を切り替えているとボス戦が映った。大きな棍棒を振り回して牽制しているが、素早く近づいて切られたり、遠くから矢や槍が刺さってダメージを受けているようだ。
しかし取り巻きからヒールや補助魔法がかけられて、有効な攻撃になっていない。そこに前田、謙信、チョコが敵の足元に行き、敵に何かをして離れていった。
上手くいっているようで良かった。早く敵を殲滅したいが今はMP回復優先だ。ゴローンと戦場で寝転がってみる、これも大事なんだぞ。ちなみにフィールドで寝転んでも座っているのと変わりません。
そういえば、転職してからMPの回復速度が上がった気がする。転職すると回復ボーナスでもあるのかも知れないな。
MPも回復してきたので再び「ウォーターベール」「ファイヤーエンチャント」「クライネウォーク」を掛ける。そして背後から敵に対して脱兎で蹴散らしていくが、脱兎が止まった。ぶつかったダメージで槍から投げ出されて空中を舞う。
数十m位上空に飛んだだろうか、時間がゆっくりと流れる中、槍衾用の槍をポシェットから取り出して地面に向けて構える。落下して槍が地面に刺さり、柄が大きくしなったところで手を離して着地し地面を転がる。あぶなかった。
ボスまでは行かないがかなり大きいオーガがいる、それにぶつかったようだ。やばい、周囲は敵だらけで、一気にオーク達が殴りかかってくる。
「脱兎二」
全速力よりも速い速度でオーク達の間を走り抜ける。走りながらモルルンを取り出して、オークの頭を殴り、その反動で方向を変える。少しだけ敵がいないところに来たので、ポシェットから投擲槍+鉤爪+鎖を取り出し、オーガに投げて、さらに走りまくる。
五周ほどオーガの周りを回ったところで、オーガは身動きがとれずに倒れ込んだ。鎖を離して、オーガに刺さっていた十文字槍に飛びついて、体重をかけて深く差込んでから、柄を横に倒したところで、オーガの足が切断されて飛んでいった。
後ろからオーク達が襲いかかってくる足音が聞こえる。一旦距離を取るため、
「脱兎」
十文字槍を構えて、私の正面にいたオーク達を吹っ飛ばしていく。脱兎が切れたところで振り返って、再度オーガの方に向かって「脱兎」を行い、倒れているオーガの近くまで戻ってきた。十文字槍をオーガの顔面に刺し、
「リファイヤー」
バスケットボールより二周り位大きなボールがオーガに向かって飛んで行き大爆発した。ヒクヒクしている。十文字槍を外して、「脱兎」で一旦距離を取って、また「脱兎」で戻る。取り巻きのオークが戻る前に何度か槍で刺したところでオーガが消えた。投擲槍+鉤爪+鎖を拾ってポシェットにしまう。「脱兎」で走り去る。
オーガは効率が悪いので、出来るだけ近寄らないようにしよう。敵の数が減ってきたのか四回だと敵を抜けて随分と走るようになってきた。敵を抜けきらないように三回目で方向転換する方法に切り替える。
三十往復くらいだろうか、MPが減ってきたので最北でMP休憩を取る。日本時間二十一時、ゲーム時間二十ニ時だ。残りゲーム内で後二時間でイベントが終わる。倒した数は十七万を超えた一時間でこれっておかしくない?
段々と手負いの敵が増えてたし、敵の中だけで折り返すようにしたから無駄が大分減ったようだ。スタミナ焼肉を食べながら座っていると、ハンガクからささやきがきた。
「作戦は順調ですが、敵のヒールがある限り殲滅できないと思われます」
うーん、あと二回しか範囲を使えないので出来ればラスト四十分くらいに使いたい。後一時間頑張れば三十万倒せているかも知れないし、ボスだけになれば倒せるはずだ。
補助魔法を掛けて再び敵に突っ込む、今度からは脱兎は二回で方向転換だ。そして最前線の少し手前あたりでは横方向に脱兎を繰り出す。これなら手負いの敵が前に進むので、殲滅速度があがるはずだ。
ボス以外と戦っている前線の横幅は左端から中央の三キロくらいのはずなので、七回だとちょっとはみ出しそうだな、六回でいいはずだ。実際に六回目の終わりで敵を抜けそうになった。
今度は北に一回脱兎してから左横に脱兎する、端まで来たら南に脱兎してまた右横に脱兎する、何度か繰り返していると、向かった先が良くなかった、オーガだらけで避けようがない。
「脱兎二」
速度が一気に落ちて、避けきれはしなかったが衝突のダメージは軽減出来た。っふうーー。
しかし周りのオーク達が何やら踊っている? なんだろうシャーマンのような格好をしているオーク達が多いようだ。特にダメージらしいダメージが来ないので、味方に対する鼓舞のようなものなのだろうか? その割には私に向かって、両手を揃えて手をヒラヒラさせてる。
「脱兎」
止まっていると危険なのでとりあえず移動する。何往復かして、MPが減ってきたので再度北に脱兎して少し離れた場所で休憩を行う。
殲滅ペースが更に上がった気がする、これなら
最後のスタミナ焼肉を食べて座っているが、MPやHPが殆ど自然回復していない。よく見ると自分の状態変化を表すアイコンが表示されているが、意味がわからない。モヤモヤっとした灰色の枠に、中には目や口がオドオドっとした感じで表示されている。一言でいうと気味が悪いアイコンだな。
「そのようなアイコンは聞いたことがないですね。はっきり言うとどんなアイコンか想像がつかないです」
ハンガクにも分からないようだな。困った。しかし、このまま座っていてもあまり回復されないし、もう使うしかないだろう。残りのMPを使って、敵の中を縦横無尽に脱兎する。MPが一桁になったところで、ネックレスを左手て包みMP回復を願うと、ネックレスから光が空に向けて飛び、直ぐに空から光が戻ってきた。私が光に包まれるとMPが完全に回復している。
「うぉーーーーー」
気持ちが乗ってきたのでつい声に出ちゃいました。そして「クライネウォーク」だけかけ直して再度脱兎を繰り返す。敵を沢山殺せているが、MPが回復が遅いという問題は解決していない。MPが切れる前に最北に行って座る。
日本時間二十一時半、ゲーム時間二十三時だ。イベント終了まで後一時間。ボスの取り巻きは殆どいなくってきた。もう脱兎をするほどの集団で敵は残っていない。
これなら残りの敵を開放しても大丈夫だろう。ハンガクにささやきをして意見を確認し、同意が得られたので、一旦南下して味方の後ろまで引く。
誰かが作ったと思われるアースワークの上に乗る、前線の開放を指示するために。
「クライネサイレス」
を唱えようとすると、対象を確認するウインドウが表示された。“範囲”を選択、[]マークが、視界に入る敵に対して凄い速度で表示されていく、画面の上に数字らしきものが表示され、数字がグルグルと回転している。
数字が止まった五万千百二と表示され、私の体から凄い数の光が敵に向かって飛び続け、その光で再度私に注目が集まる。
「ゲーム時間残り一時間です。敵の数は五万千匹まで減りました。前線を開放して敵を全て通過させてください。通常の敵ならリンスドルフまで辿りつけません。またライダー系であっても、残っている数は多くない筈です。
リンスドルフの防衛には数万の守備隊がいるのでその方達を信じましょう。今、敵の殆どは魔法が使えない筈です、雑魚は全て無視してボスを集中して攻撃してください。さあ終わらせよう!」
「「「「「「「うぉおおおーーー!!」」」」」」」
大歓声のあと前線のいたるところで穴があく。五万の敵が南に向かって行くのは凄い迫力があるな。アースワークの効果が切れたため、土壁が崩れて地面に転がり落ちる。
目の前を見ると敵の槍が自分の体に刺さるところだった。南に向かって突進してきた敵の部隊の前に転がり落ちてしまったようだ。槍は抜けたが、多くの敵に踏みつけら、蹴っ飛ばされながら、なすすべなく倒された。
「最寄りの村に戻りますか? はい いいえ ※注意:LV十までは死んでもデメリットはありません」
ちょっと調子に乗っていたかな、ゲームは下手なのに脱兎が使えるから良い気になり過ぎていたかも知れない。周りから驚愕の声が聞こえる。
「えええー、ここで、このタイミングで死んじゃうの?」
「サイレス切れたら、また回復されちゃうかも」
「ちょっ、おっま」
自分でも情けないです。今駐屯地に死に戻ってもMPはほぼないし、MP回復アイテムもない、回復速度も遅い、ここに戻ってきても脱兎を使う相手も居ないし、「クライネサイレス」を唱えるくらいしか役に立ちそうもないが居ないよりマシかな、はあぁ~気力が持ちません。
最寄り村に戻るため“はい”を選択する。すると何故かクローネシュタット北門だった。あれ? 何で駐屯地じゃないんだ? ここだと更に離れるから移動のMPだけでも五十は必要になる。
ああ~↓やる気が更に減ってきた。ウインドウが表示されて倒した敵が表示がされている、イベントのウインドウを見ると、倒したイベント敵は二十九万七千三十一匹となっている。
三十万弱の討伐履歴なんて読みたくないので、討伐履歴ウインドは読まずに閉じる。もう気力が持たないかも知れない。下手なりに頑張ったんじゃないかな?
多分トップだと思うし、がんばったな、うんがんばった。サイレスだってかかっているし、作戦だって有効に機能しているし、もうイベントは終わりだな終わり。落ち込んでいるとハンガクからささやきがきた。
「えーす、取り巻きが減ったためか、ボスが再度スキルを発動しました。自身に刺さっている矢や武器が射出されてかなりの味方が死に戻りました。多少はアースワークの陰に隠れることである程度は防げましたが……。
まだボスの取り巻きが若干残っています。サイレスが切れたらまた回復される恐れがあります。いつ戻ってこれますか?」
大変そうだけど、何時って言われてもなあ、もうMPもないし、気力がなあ。はあぁ。グズっていると知らない人からささやきが来た。
「爺さん、この前は済まなかった。爺さんがゲームするとか思わなかったし、余りにも下手な人間なんで凄く見下してしまった。
アンタの采配や他の人を支援する姿を見て自分が恥ずかしくなったよ。いま最前線で戦っているから早く戻って来いよ。一緒にボスを倒そう」
って、あんた誰? え、ああ私が馬鹿にされる原因を作った君か。そうか、随分前の事なのに、人に謝るって大変な気力だと思うんだけど良く謝れたな。
まあ君のお陰で、なにくそって気持ちにもなった部分があるし、結果的に今は充実しているからもう気にしていないよ。
しかし若い連中が私に期待しているのにここで腐っている訳にはいかないな。よし。
北門側のギルドのLVUP窓口に行く。LVを十一に上げる。副次効果でHPとMPが全回復する。経験値が四万五千掛かった、残り経験値が千五百万強!? なんじゃこりゃー。そう言えば一人で敵を三十万弱狩ってたね。
あんまり上げすぎるとPTプレイ出来なくなるから、とりあえずこれでいいか。
「クライネウォーク」
だけかけて、脱兎二で街を出て、直ぐに脱兎でリンスドルフの北にいる兎組の所に向かう。兎組に挨拶をして、守備のお願いと最前線に戻る旨を伝える。
移動していたら、南下する敵の大群が見えたので、脱兎で蹴散らす。
「行きがけの駄賃だ、受け取っておけ」
と、セリフを言ってみて、凄く恥ずかしくなった、ヒィーー。この恥ずかしさをオークにぶつける。相手も走ってくるから性もあるだろうが、一度吹っ飛ばしている敵の数も先ほどより多い気がする。まぁ誰もいないし聞こえてないだろう。
そして最前線に。味方のプレイヤーがボスと戦っている、やっぱりタフだなボスは。プレイヤが多くボスの周りを囲んで戦っているので入る隙がない。
そうするとチョコが集団から離れて手を振っている。私が手を振り返すと、ポシェットから何やら大きな木材を担ぎ地面に斜めに刺して肩に担いだ。
「お爺ちゃんコッチコッチ!」
なるほどそういうコトね。やれるか分からないがやってみよう。
今の状況は、プレイヤー、敵取り巻き+ボス、プレイヤー、チョコ、私のような並びになっている。
脱兎で近づきチョコが持っている四角切り出した木材の上を走りに抜ける。チョコが潰されたような感触があるが、せっかくの好意だから気にせず飛び抜く。プレイヤーの上をジャンプで渡る。
ボスがちょうど武器を振り回している最中で、背中に十文字槍+兎の涙大粒が深々と刺さり、私は衝撃で空中に放り出される。時間がゆっくりと流れる中、ポシェットから槍を出して、倒れているボスの上に刺し、柄が大きくしなったところで、手を離して地面に転がる。
ボスは倒れてヒクヒクしている。
「えーす!!」
ハンガクが声を掛けてくる。
「またせたな、ヒヨっ子ども!」「リアイスロック」
十文字槍を敵の背中に固定させる。
「今ならボスは、魔法四倍、物理二倍のダメージを与えられるぞ」
そして、持っている呪いの武器を敵に突き刺す。
赤錆びた鉄の斧……この武器を持つものは動きが遅くなる
黒錆びた鉄の大鉈……この武器を持つものは火耐性が低くなる
緑青錆びた銅のナイフ……この武器を持つものは防御力が下がる
刺した場所に「リアイスロック」を掛ける。
「更に動きが遅くなり、火耐性が低くなって、防御力が下がっている。氷が掛かっていないところを中心に攻撃してくれ」
投擲槍+鉤爪+鎖を近距離から投げて刺し、倒れているボスをグルグル巻にする。
PTメンバーにファイヤーエンチャントをかけて、私も
ハンガクが金の矢を打ち込み、前田と謙信も金の投擲槍を投げる。手持ちがなくなったので、通常の武器で攻撃を始める。
パートはボスの目の前でスタミナ焼肉を焼いている。MPが切れたのかな、うーん後退するのも大変だろうから仕方ないか。
私も魔法を連続で使用する。
「クライネファイヤーアロー」
六本の火の矢が飛んでいき、ボスに刺さって燃える。そろそろクライネサイレスが切れる頃なので、範囲でかけ直しておく。ボスに残っていた燃える水を掛けて火ダルマにして刺さっている普通の矢や槍が燃えて消える。
「定期的に油をかけて燃やせ。でも氷は溶かさないでね」
一休さんもビックリなとんちを要求する。さて、MPが無くなったので、
残っている取り巻きのオーガが十匹程固まって突進してくる。プレイヤーが大きな棍棒で吹っ飛ばされて、ボスに向かってどんどん進む。ポシェットの中から、エルドワが作ってくれた槍を出して構える。
「エルドワ」
呪文のようにエルドワの名を唱えると、爆音と閃光起こり、オーガを黒焦げにする。
「エルドワ、エルドワ、エルドワ、エルドワ、エルドワーー」
爆音と閃光が何度も起こり、オーガ達を黒焦げにしていく。目からは涙が溢れてきた。そして再度ボスに向かって槍を構えて叫ぶ。
「エルドワ、エルドワ、エルドワーーー!」
ボスに何発もの光が吸い込まれる、そしてウインドウが表示される。
「BOSSドンクルハイトを倒しました」
「「「「「「「うぉーーーー勝ったぞー!!!」」」」」」」
周囲のプレイヤーが喜んで騒いでいる。手に持っているものを空中に投げたり、抱き合ったりしている。
ハンガクが抱きついてきた。おっおおう!
前田も謙信も抱きついてきた。おおっおう。
パートも全員を包み込む形で抱きついて来て、おおおお!!!!!
フライパンが熱いのでちょっと離れて欲しいです。
皆凄い喜んでお祭り騒ぎになっている、チョコを探すと地面に半分以上埋まって、鼻水を垂らして泣いていた。ああ……ごめんよ、今度呪われた武器をあげるから許してくれ。
イベント時間が過ぎて勝利が確定した。報酬は後日集計してから送られる、まあうちのPTが一番だろうな桁が違うと思うし。
イベントは終わったから日常に戻るんだろうけど、暫くは初心者支援をやめて普通の冒険をしたいな。それとスラム街の皆を旅行に連れて行ってやるか、まずはスラム街の皆の希望を聞いてみてからかな。でも全員を連れて行くなら護衛が必要だから、そのときはまた集団行動かも? PTに話しかける。
「しばらくは初心者支援をやめてPTメンバーで狩りでもいかないか? ブラウメーアにダンジョンがあるらしいから、そこに行ってみないか?」
「「「「「はい」」」」」
綺麗に揃って良かった。
「ダンジョンはアンデットやスケルトンが一杯出るから、呪われた武器があったら頂戴ね!」
まあ仕方ないか。いっぱい使わせてもらったし、かなり助けてもらったからね。
「えーす。次のアップデートでギルド機能が開放される予定なのでそしたらギルドを作りませんか?」
ギルド? 冒険者ギルドを個人で作るのか? 確かに相手は一社みたいだから、別のギルドがあっても商売として……え? 違うの? プレイヤー同士で作る寄り合いみたいなもの?
まあ良くわからないけど良いよ。何でもやりたい事をやればいいさ。
「えーす。早く戻りましょ!」
ハンガクが私の手を引っ張る。よし、じゃあ、皆のところに戻って打ち上げだ!!
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