loss of one's eyesight
@kurousagi0418
人にとって明かりとは
人間は多くの感覚を持っている、その中でも最も頼っているのが
【視覚】だ。
人間は視覚を絶たれてしまうとまともに歩くことすらできない、それでも人間は生きるためにほかの四感を鍛えて生きていく。
そんな苦難と戦う少女のお話
パチパチ……
物が燃える音がする。あれ?さっきまでお母さんと車で……ッツ!!―――
思考を巡らせた途端自らの両目に異物感と激痛が走るのを感じた、否、思い出した。
「ああああああっ!!!!」
思わず叫んでしまう、痛い、痛いと。
だが叫んだところで何も変わらない、それどころか火が足の方に回ってきている。熱い、痛い、苦しい、助けて。そんな感情が渦巻くも少女を助けるものは居なかった。
ああ私はここで死ぬんだな―――そう思った
焼け死ぬのかな?出血死するのかな?ショック死するのかな?そもそも死ってなに?死ぬとどうなるの?どこへ行くの?私はどうなってしまうの?怖い恐いこわいコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ
「嫌だああああっ!!死にたくないいいっ!!!」
次の瞬間その声は聞こえた―――
「よく言った!諦めるな!今必ず助け出す!」
その声を最後に私の記憶は途切れた
ピッピッピッピッピ
ドラマでよく聞く病院のあの音だ、ここは病院?解らない、目の周りに何かが巻かれている何も見えない。外してみればわかるかな?
シュルシュルと包帯を外す、次の瞬間私は自分の身に起きたことを理解した。目が見えていない。
「え、嘘、そんな、嘘でしょ、、、、」
そんな言葉しか出てこなかった。
「倉敷さん、起きたんですね」
そんな声が聞こえた気がしたが今はどうでもいい、目が見えない、解らない、恐怖しかない、何も見えない、怖い。
ガタガタと震えてしまう
「落ち着いてください、突然の事で困惑しているかもしれませんが、話を聞いて頂けますか?」
もう、どうでもいいや、私は意識を投げ出した。
「そうなんです、心を塞ぎ込んじゃってて―――はい、はい、じゃあお願いしますね。」
さっきの人が会話をしている。相手は、いやどうでもいい、私の人生はもう終わったんだから。
扉が開く音がした
「こんにちは、倉敷さん」
その声を聞いた瞬間全てを思い出した、目に突き刺さった何か、燃え盛る炎、ほとばしる激痛、そして―――今しがた馴れ馴れしく話しかけてきた男の声
「もしかして、私を助けてくれた人ですか?」
初めて、まともな言葉が出る
「ああ!覚えていてくれたんだね!いやービックリしたよ、あんな人通りの少ないところで車が燃えてると思えば、悲鳴が聞こえて駆け寄ったら女の子が1人で埋まってるだなんて」
ペラペラと話し出す、が、いくつかおかしい事がある
「人通りが少ない?東京の街中を走っていたはずですが?」
それを聞いて男は
「なーに言ってんの、長野県の奥地も奥地で死にかけてたのは君じゃないか、頭でも打ったかい?」
おかしい、記憶と合わない
「女の子が1人?お母さんは?」
「遺体のようなものは見つからなかったようだよ?でも車の損壊の仕方からして、粉微塵になっていてもおかしくないって。ってかそんな爆発に巻き込まれてなんで生きてられたのかそっちが不思議だってさ。」
んん?爆発?人気もないところで?衝突もしてないのに?勝手に?おかしいな……
「えっと、今の場所を教えていただけますか?」
「長野県の大学病院だよ」
「何故、私の所に来てくれたのですか?」
「そりゃあ医者のオッサンが患者の女の子が塞ぎ込んでる、恩人の貴方ならいけるんじゃないかって、お願いされたからだよ。ああ、あと自分が助けた相手の安否も気になったしね。」
「ありがとう、ございます」
「いいっていいって。それより体の方は大丈夫?目、見えてないんでしょ?」
「……はい」
「それでさ、1つ提案があるんだけどさ、うちの会社の被験者になってくれないかな?内容は後で説明するからお願い!」
「え、ちょ、ちょっと待ってください、私、まだあなたの名前も知りませんし、どこの誰かも知らないんですよ!?」
「ああ、ごめんごめん名乗ってなかったね。俺は桜井櫻華」
「オーガさんは、何者なんですか?目の見えない人を被験者にしたい、とか、全然わからないんですけど。」
「俺はね、目の見えない人を補助する機械とかのメーカーの社長なんだ。」
「しゃ、社長さん?」
こんなのが?
「あ、いまこんなのが社長とか思ったろ?」
「すみません」
「ほんとに思ってたのかよ!まあ、いい。それでね、君になんで被験者を依頼したかっていうとね」
「なんででなんですか?」
「ぶっちゃけ言うと、会社の近くで失明していて帰るところのない子供で、助けた恩をかさに話せばいけるかな?って思ったからなんだ」
「身も蓋もないですね」
「だろ?でもこれぐらいしないといけないくらい人が足りないんだ。どうか、協力して欲しい。君の生活は保証するし、出来た製品も無料で提供する。だから、お願いできないかい?」
割と真面目なトーンで話しかけてくる
「生活かあ」
そういえば考えてなかった、母さんがいなくなって、私は天涯孤独となった、父は早くに病死、行く宛もない、なら、頼んでみるのもありか?
「まあ、また来るから、その時に返事は聞かせてよ」
「あ、待ってください、連れて行って頂けませんか?どんな場所か見れば……行けばなんとなくわかると思います!」
そうだ、行ってもどんな場所か分からないじゃないか、アホか私は
「でも、いいのかい?病院から外出許可は降りるのかい?」
「私はこの通り歩けますし目が見えないだけですから捕まって歩けばなんとか。病院の許可は心を開かせたんだからちょっと貸せっていって無理矢理にでもとってきてください」
「おう、嬢ちゃんさらっとすげえ事言うな。気に入った、いいぜ許可でも何でもとってきてやるよ」
「お願いします」
私はまずは事故のことを忘れることが先決だと思い、新しいことに挑戦することにした。
××××恋×××××僕××××××××××××××××に××よ
××て××―――
なにか雑音のようなものが聞こえた―――
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