第5話

水色の、汚れたコンテナ籠のようなものをじっと見つめ、私は大泣きしていた。

父親の膝に乗せられて、大泣きしている幼い私が見えた。

なぜあの時、泣いていたのだろう、その事の方に気をとられて、自分の姿を見つめる、という事がおかしい、と気づいたのはそのずっと後だった。

思い出した事を、旦那に伝えたいとは、もう全く思わなくなっていた。

もう私のことを一切わかってくれなくてもいいし、旦那のことを理解しなくてもいいと思っていた。

心が、日に日に軽くなっていった。

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