第13話 不思議な同居生活
そこからはさっき届いたばかりのダンボールを開けて行く。普段使いな荷物ばかりだったのでしまい込むというよりか、出して置いて行くという形になった。
と、少ししたところで、ここまで聞こえるんだ。
ピンポーン
と、インターフォンの音。
お祖父さんだったから音量が大きいのかな? 広いしこれくらい音がしないと聞こえないのかも。窓を見ると二人とも玄関に向かってる。城太郎君の荷物も届いたのかな? 私も行った方がいいのかな? さっき二人には手伝ってもらったし。迷ってる間に二人とも荷物を運んでいる。ドアを開けて二人に言う。
「手伝うね」
玄関に行って見ると思っていたほどではない量の荷物があった。あと二往復ってとこかな。
荷物を持ってみる。さっきも一番軽い荷物にしてもらった。今度も持てるか確認。これならいけそう。運んでいる途中に二人に会う。
「ごめん。重くない? 」
城太郎君は気を使ってるみたい。
「軽い荷物選んだから、軽いし上に乗せておくね」
「ああ、うん。ありがとう」
廊下を進んで、ドアが開け放たれている城太郎君の部屋に入るとダンボールが二つ積んであった。その上に持っていたダンボール箱を乗せる。もう一度だよね。また玄関へと向かう。城太郎は申しわけなさそうにしている。私の荷物は葵君が一人で運んだんだから、そっちの方が申し訳ないよ。
残ったのは三箱。城太郎君の荷物が少ないのか私が多いのか。まあ、いらないものが沢山あったし、私の荷物が多いんだろうな。手前に一箱だけ置いてある。これを持てってことね。持ってみると軽いな。何が入ってるんだろう。割れ物って貼ってあるし、軽いからってふわふわした物じゃないのかな? とりあえず持って行こうとすると二人が来た。
「それ! 軽いだろう? 」
「あ、あの、慎重に運んでくれる? なんだったら置いといてくれてもいいんだけど……」
城太郎君は心配そうにしている。よっぽど大事な物なんだろうな。けれど、部屋にどうせ戻るんだし。今さら置いて行くのもね。それに、落としそうにないほど軽い。
「大事に運ぶよ。大丈夫だから」
城太郎君に見張られるようにこのダンボールを城太郎君の部屋に持って行った。何が入ってるんだろう。あの箱……。
「じゃあ、荷ほどき頑張ってね! お互いに」
そうなんだよね。私にもまだ荷物が残っている。
城太郎君の部屋を出て私の部屋まで葵君と話をする。内容はもちろんあの箱の中身の話。
だけど、あれはなんだと思うと意見を出し合う間もなく私の部屋についた。
「じゃあ、頑張ってくるね」
「あとどれくらい? 」
「半分くらいかなあ。まあやりやすいのから片付けてるから、目安にはならないけど……葵君、暇なんでしょ? 」
「まあね」
葵君は本当に退屈そうな顔してる。
「夕方には終わると思うからまた買い出しいこう。また声をかけてね」
「わかったよ。じゃあ、頑張って」
「うん」
私は気持ちを切り替えて実家に送り返す荷物を荷造りし直した。開き直って送るとなるとまた迷うが、しばらくおいておこうと決めると手がドンドンと動き出した。あっという間に3箱も出来上がってしまった。それを押入れの奥にしまいこむ。
そして、幾分かスッキリとした部屋に新しく送られてきた荷物を片付けて行く。私の場合、いらないものが多かったみたいだな。城太郎君はずいぶんと少なかったけど……少なすぎない? なんて人の心配までできる余裕が出てきた。それもこれも、押し入れの奥にあるダンボールのおかげだね。
コンコン
「はい?」
「遥。どう?」
「うん。大丈夫。もう終わるとこだし、一緒に行くね」
まだ終わってはいないが本当にあと少し。これなら生活しながらでも片付けられる。
私は立ち上がり、ドアを開ける。
「あっ!」
そこには葵君と城太郎君がいた。
てっきり葵君と二人で行くんだとばかり思っていた。城太郎君には荷物もあるんだしと。考えてみれば一日目も葵君は私を誘ってる。城太郎君を誘っているのが当然だった。すっかり気まずくなってしまった。私があげてしまった声のせいで。
「城太郎も気晴らしだってさ」
「あーそう。そうだよね。気分転換しないとね」
必死に弁解する私。
「まあ、そろそろ終わりそうなんでね」
「ええ!! もう?」
私の取り繕っていた仮面はあっけなく剥がれてしまった。早くない? 確かに荷物も少ないけど。早くない?
「早いよなー。そうそう。あのやたらに軽い荷物って……」
「ああー、いや、それはいいんじゃない?」
ええ? 私は気になるんだけど。軽いのに壊れもの扱い。しかもその扱いをかなり城太郎君は気にしてたし。大事な壊れものだよね。やたらに軽い……なんだろう。そしてなぜか中身を言いたがらないし。
城太郎君は渋い顔をして葵君の口を閉じさせてしまった。ただでさえ少ない荷物の候補に入る物………わかんない。
というわけで、あれってなんだったのクイズを軽くしてみたけど、全く当たらなかった。そもそも何がって発想が思いつかなくて腹を探ってました。表情の読めない城太郎君ではなくどうやら中身の正体を知っているみたいな葵君の腹を探ってみた。なんなんだろう。
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