Parla Collection

汐凪 霖 (しおなぎ ながめ)

第1回 死神✠Alice✠ Le Morte

「……なあ、今ごろ、おれたちが呼ばれたのって、なんでだと思う?」

「停滞してる言い訳じゃない?」

「停滞って……何か月だよ」

「たしかに、時間がたちすぎてるね。読み手さんの中には、忘れておられる方もいるんじゃないかな」


 幼馴染たちは、頷きあう。


「そもそも、これ、誰が何を言っているのか、区別がつくまで読みこんでくださった方っているのかな?」

「書き手の問題でございましょ。きちんと書き分けていれば、間違えられることなんてなくってよ」

「きみは解りやすいから、いいよね」

「そうだ、そうだ、不公平だ!」


「キャラクターを書き分けるほど猗綺子さんがお上手な方なら問題ないんでしょうけど」

「泉って、結構、辛辣」

「あれ、そう?」

「アリーチェみたいなこと言ってたよ」

「でも、正論ですわ。有巣と煕人さんの区別、つきまして?」

「つくでしょ、普通に」

「どうですかしら」


「それにしても、どうして今更、私たちが呼ばれたのかな」

「やっと続きを書く気になったのかな」

「無理ですわ。猗綺子さん、いまは『風花 ~舞い散るは きみへの想い~』に、かかりきりですもの」


……………………。


「なにーっ」

「私たちほっぽって?」

「また、無謀な……」

「あのコンテスト、8万文字だったよね。間に合わなかったんでしょ?」

「やっぱりか」

「結構、頑張ってましたわよ。今までになく、7万文字まで進めたとか」

「あーでもダメだったんじゃん」

「ぼくらを放置してるぶん、頑張ってほしいけどね」


「あら、放置なら、まだましでしてよ。書いたきり、発表すらしていない作品もあるのですもの」

「ああ……」

「グリムノーツか……」

「あれは気の毒だよね」

「途中まで書いて、エントリーまでして、未公開だもんな」

「恋愛小説コンテスト一本に絞ったんでしょ?」

「それで、この体たらくだ」

「まあ、そう言わないであげてよ。具合が悪いんでしょ?」

「いや、薬の副作用で眠いだけだろ」

「それだけじゃないと思うけど……」


「それより、僕らに対談してほしいことって、作品のことじゃないの?」

「いや、停止してる作品について、何を語るんだよ」

「今後の予定とか」

「予定、決まってるの?」

「未定ですわよ」

「ええーっ」

「いつまで待たせる気だよ。おれ、悩みも消えそうだぜ」

「そういえば、有巣くんが巧くんの家に行って、そこまでで止まってるんだよね」

「そう! おれの悩みを打ち明けるまで、いってない!」


「気の毒ですけれど、当分、進みませんわよ。その悩みに関わる問題の解決に頭を悩ませているみたいですから」

「あ~……おれ、ボイコットしよっかなぁ」

「しても猗綺子さんにダメージはないよ」

「そうだよな……ハンストしよっかなぁ」

「それも、猗綺子さんには効かないでしょ」

「といいますか」

「なに?」

「やばい、聞くな、巧、煕人、泉!」


「……この作品、待っててくださってる読者の方、いらっしゃいますのかしら?」


……………………。


「根本問題~!!」

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