第13話 俺と哀來がお似合い!?
部屋を出て、さっきの広い玄関に行ってみた。
柏野さんが担いで行った方向に行けば寝ているような部屋があると思う。
「おや、どうしました? 青龍先生」
担いで行った方向から柏野さんが現れた。
「綾峰さんの様子を見に行こうと思って」
「心配いりません。あれから来客用の医務室で眠っております」
「そうですか。それは良かった」
あれから起きなかったら俺が殺した、みたいな事になるからな。
「……ご自分を責めないでください」
「え?」
まるで俺の心を読んでいるかのような一言に驚き、思わず声に出してしまった。
「あ、そうそう。今日、哀來さんと一緒に出かけてほしいって言った理由は何ですか?」
聞かずじまいだった事を思い出して聞いてみた。
「申し訳ありません。玄関ですぐにでも説明しようと思っていたのですが……予想外の出来事が何度かあり、言わずじまいになってしまいました。すみません」
柏野さんは頭を下げて謝った。
「き、気にしないでください。その理由って……もしかして綾峰さんと何か関係あるんですか?」
「はい。お嬢様にはお伝えしませんでしたが本日は綾峰さまが屋敷にいらっしゃる予定が入っていたのです。なんとかして合わせまいと思い、お出かけを強制させたのです」
「そ、そうだったんですか!? でもどうして一言も伝えなかったのですか?」
「これは私個人の意見ですが……お嬢様は先生とお似合いだと思うのです」
「か、柏野さんまで?」
「お嬢様は幼い頃から歳が近い男性とお遊びになられたり、お付き合いをされた事がないのです。旦那様に止められていまして」
「確か、友達と遊ぶ時間もなかったとか」
「お嬢様からお聞きになられたのですか?」
「はい」
俺の部屋でとは言えないが。
「旦那様は『燕』を誇り高い苗字だと常に思っていらっしゃるお方ですから。お嬢様にも自分と同じ道を歩んで欲しいのでしょう」
「旦那様も他の人と仲良くしたりしていなかったのですか?」
「はい。長年燕家にお仕えしておりますが、そのような話はお聞きしたことがありません」
他人を見下しているような性格みたいだからな。
「やっぱり親って子供にも同じ道を進んで欲しいものですかね?」
俺がお袋からピアノを習わされたみたいに。
「そうかもしれません。私は子供がいないのでよくわかりませんが」
やっぱりそうなのか。
「話を戻します。先ほど申し上げた通り、お嬢様は男性を知りません。そんなお嬢様が先生にはあれほど懐いておられる」
まさかあれくらい懐かれるとは思っていなかったけどな。
「あなたなら旦那様も喜んでくれます!」
「え!? 針斗さんはどうなるんですか?」
「……失礼しました。社長の
そんな事話したらクビになるんじゃないか!?
お耳を、と言われ俺は片耳を柏野さんに近づけた。
「実は旦那様はお嬢様の叔父なのです」
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