復讐しに行ったら自分好みの女がいた
初夢なすび
第1話 復讐の始まり
俺は
親父は事務所持ちのファッションデザイナー、お袋は世界中で活躍しているピアニストという芸術家庭で弟を含め、合わせて四人で生活していた。
俺と六つ下の弟は両親の薦めで幼稚園からこれから入る大学はすべて音楽系の学校だ。
俺は授業を通して難易度の高いピアノの資格を取り、歌もハイレベルな授業を受けてきた。
この生活を嫌いになった事はなく、むしろ『これが普通』と小学校まで思っていた。なんせ俺の趣味はミュージカル鑑賞だからな。
そんな芸術生活を続けている高校三年生の一月。
第一志望の音大への合格も決まり、明日から自宅研修が始まる矢先に。
突如、残酷な知らせが届いた。
「お父さんが……殺されたって……」
お袋が突然、泣きながらこんな事を知らせてきたのだ。
「お父さんが殺された?……嘘だよね?」
弟の
「昨日の夜、事務所の秘書の人が事務長室に入ったら……血を流して倒れていたって。警察の人が調べたら、銃殺って……」
「銃殺!?」
さすがに俺も声を出して驚いた。
銃殺って……一体誰がそんな事を!
「お母さん……オレ達これからどうなるの?」
アルトが泣きそうなくらいの声で聞いてきた。
まだ十一歳だ。
父親が殺されたという恐怖と不安が混ざり合い、悲しみという感情を生み出しているのだろう。
「親父はどうして殺されたんだ? 悪い人に目を付けられてたのか?」
「それは私にもわからないわ。でも、もしかしたら小夜の言う通りかもしれないわね。有名会社から大量オーダーされて、その会社へしばらく足を運んでいたから」
そういえばここ二、三年そんな事を言っていたのを聞いたことがある。
「ん? そしたら何で親父を殺さなきゃいけないんだ?」
自分達が注文したデザイナーを殺すなんて訳がわからない。
「あの会社、怪しい噂が流れている事で有名なの。もしかしたらお父さんはそんな噂よりももっと悪い事を知ってしまって……」
「その口封じに親父を!?」
俺の言葉にお袋は頷いた。
許さねぇ!
そんな自分勝手な動機で親父を殺しただと!
「その、会社の名前は何ていうの?」
アルトは知らなかったらしい。俺が教えた。
「『燕舞(えんぶ)』。あの会社が俺達の親父を殺したんだ」
間違いない!
あの会社の関係者が殺したんだ!
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