第12話 見回り



『見回り』


 もうすぐ一日が終わる。

 そのはずだったが、まだ連中は終わらせる気が無いようだった。

 暗がりの屋敷の中をメイド二人が歩き回る。


 右腕もメイドなら、左腕もメイドだ。


「だめですーっ、ご主人様の傍は私のなんですからっ」


 同僚のメイド(右腕)に対して、全身の毛を逆立てて威嚇するような猫メイド(左腕)がそこにいた。


「いーじゃない。ご主人様をぎゅっとするだけだから、か・し・て」

「やです!」

「じゃあ、ちゅっとするだけだから」

「にゃ、ちゅ……、ふぁぁ……」


 他のメイドに絡まれるメイドはこっちの腕を話そうとしない。

 離せ。


「うぅ……ご主人様……」

「やだ可愛い。脅かしちゃお……。ふぅぅー」

「ひゃああああっ」


 見回りを肝試しにでもするつもりか。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る