10話「エルフの魔剣使い」
「あっ! さっきはどうも」
アリスとあーだこーだと、草原で言いあってると、先ほどのエルフの少女に声をかけられた。
エルフ特有の若草色の革鎧に、同色のマントがとても似合っている。
「冒険者ギルドで魔王を倒したって言葉が、あたしの耳に届いて気になった。失礼を承知で、遠目より戦いぶりをずっと見学させてもらっていた」
そう言うエルフの少女は、俺たちを交互に見ると微笑んだ。
「そうなんだ。ハジメが魔王を倒したんだよ」
「お前、どんだけ、ドヤ顔で言ってんだよ!」
「ふーむ。やはり魔王は復活してたようだな」
エルフの少女はリシュアと名乗った。
俺達はリシュアの話に耳を傾ける。
魔王との対決時、魔王にトドメに使った爆裂魔法の轟音は、リシュアの住む森まで響き渡っていたらしい。
エルフ族は耳が人間の数倍いいらしく、木漏れ日でうたたねしてたリシュアは驚き、真意を確かめるために魔城へと足を運んだそうだ。
するとそこには魔剣が放置されていた。と、いう流れのようだ。
そして俺はリシュアの背にある魔剣に視線を注いだ。
何となく怪しげな気を発している。
「その魔剣……だ、だいじょうぶ?」
「ああ、この魔剣か? 岩石でも軽々と粉砕できる。しかも使い込めば使いこむほど魂と一体化するようだ」
さすが魔王が持ってた魔剣だけあって威力は凄まじいようだ。
感心を示していると、途端リシュアが険しい表情を見せた。
「君達はもう少し火力を抑えて戦えんのか? 美しい大地が君達のおかげで燦たる有様だ。たかだか一匹の魔物にまで、爆裂魔法はやり過ぎだろう」
俺も焼け野原と化す草原を見るたびに、胸が痛み頭を痛めていた。
とは言え、他に戦う手段がないのだ。
「そこなんだけど……上手く火力が抑えられなくて……俺も困ってるんだよ」
「ふーむ事情はわからぬが、抑えられぬのか……ゴホゴホ」
やはりリシュアは冒険者ギルドのお姉さんが言っていたように、体調がすぐれないみたいだ。そんなことを思い返してると、アリスが魔法に関しての補足をしてくれた。
「魔力のないハジメが火力を抑えるのは難しいかも。本来魔力は自身の体内でコントロールするものなんだよ。でもハジメの魔力の源はアリスでしょ。アリスがハジメに対して、魔力の供給をコントロールするしか方法がないんだよ」
「で、あの火力なのか?」
「あれでも最低限に抑えてるんだよ。それにこれから契約魔法はアリスの信者が増えれば増えるほど、威力が増していくんだよ。そうなるともっと大変かも……ともかく魔力のないハジメが、魔法使えるのはアリスのおかげなんだよ! わかった?」
「もうわかってるで、ごぜえやす……」
アリスの話が終わったタイミングで、突然リシュアがハァハァと肩で息する。
苦しそうにその場に倒れ込んだ。
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