そろそろ「いじめ」の有無を問題にするの止めにしない?
中高生の自殺が起こる度、いじめの有無が大きく取り上げられたりする。
確かに事実は気になる所ではあるし、起こってしまった事に対する真相究明も大切ではあるだろう。
しかし、いじめの有無を問題視している限り、いじめという問題を隠そうとしてしまうのが人間なのかもしれません。
だから、もっと違った視点でいじめというものを見てみる必要もあるように私は思うのです。
私はいじめに関わる報道を見る度に、社会がいじめというものを一方的に否定して排除する事で解決をしようとしている様に感じ、その点にいつも疑問を感じています。
勿論、いじめを正当化しようとは思いませんし、一つ一つ個別には対応し、解決していく必要は当然にあるでしょう。
しかし、いじめという問題を一括りにしてしまい、それを排除して解決しようとしている現在の取り組み方には疑問を抱かずにはいられません。
このような取り組み方では、結局、子供達に「いじめる側の正義」を与えてしまっている面があるのではないでしょうか。
子供達は我々大人の事をよく見ています。
その我々大人が率先して、何かを排除しようとしている。
例えそれが明らかなる「悪」であったとしても、子供達はそれを真似するでしょう。
「いじめられる側」に何か問題が生じた場合、子供達の未熟な価値観で一方的な「悪」との定義付けが行われ、それがいじめになったりする事も十分に有り得るのではないでしょうか。
また、いじめを一方的に「悪」だと決めつけてしまうようなものの考え方は、「いじめられる側」の自己否定を後押ししてしまう事も考えられます。
いじめられるのは自分が悪いからで、そんな「悪」な自分は必要がない。
要するに「いじめる事」を「悪」にしてしまう事は、同時に「いじめられる事」をも「悪」にしてしまいかねません。
そして、実際にそのような心理で「自殺」を考える子供達も少なくはないように思います。
結局、いじめてしまう事もいじめられてしまう事も人間的に未熟である事が要因の一つではあるでしょう。
そして、子供であれば、未熟である事はある意味当然で、それを責めても仕方がない事のように思ったりもします。
そんな中で我々大人が子供達に何をすべきか。
いじめを無くそうとする事ではなく、いじめという問題を通じて「むやみやたらに他者を傷付けてはいけない」という事を伝える事ではないかと私は思うのです。
こんな事を言うと、今更と思う方もおられるのかもしれませんが、現在のいじめを「悪」だと決めつけてしまうようなものの考え方では、そのような価値観を子供達に押し付けてしまっているだけのように思うのです。
そうではなく、学校教育という現場において、いじめという問題を通じ、それを解決するプロセスを踏む事で「むやみやたらに他者を傷付けてはいけない」という事を子供達がより正確に理解する事にも繋がるように思うのです。
大切なのは深刻な事態になる前に気付き、対処する事なのではないでしょうか。
その一つ一つを丁寧に解決していく事が、いじめという問題の根本的な解決にも繋がると思うのです。
いじめっ子はいじめなくても済むように、いじめられっ子はいじめられなくても済むように導いてあげる事が教育というものの一端であるように思います。
いじめを無くす事はそのような教育の機会を否定する事にもなり得ます。
結果だけを押し付けるのではなく、過程を通じて理解を深める。そうあるべきではないのでしょうか。
要するに、いじめという問題は、無くすのではなく、学校教育という現場で抱え込み、解決するプロセスと、教師や子供達が日々、接していく事で、より人権というものに対する理解を深める事も出来るのではないかと私は考えます。
そして、それが将来的に不当な差別を減らす事にもなるのかもしれません。
そのように考えると、いじめはある事を前提にして対応していくべきものなのかもしれません。
そうする事で問題を隠蔽する必要もなくなり、問題の把握もし易くなるようにも思います。
ただ、実際に現場の教師達に掛かる負担は増えてしまうのかもしれません。
だから、私がこんな事を言うと、現場の苦労も知らずに好き勝手な事を言うんじゃないよ、と言いたくなる方もおられるのかもしれませんし、それはもっともだとも思います。
しかし、それでも私は私で真剣に、いじめで苦しんでいる方々を思い、どうすればいじめという問題を改善していけるのか、私が感じた事、思った事を述べさせて頂きました。
私の言った事がどれだけ的を射てるのかはわかりませんが、少しでもいじめで苦しむ方が減るよう、また、いじめを乗り越える事が出来る方が増えるようであれば、とそのような思いを込めて言いたいと思う。
そろそろ「いじめ」の有無を問題にするの止めにしない?
転載元URL(2015.11.11)
http://next.spotlight-media.jp/article/213465038672313601
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