マークがある事で人は思いやりを忘れてしまうのかもしれない
先日、マタニティマークの事が話題になった。
妊婦の方が周囲に気兼ねしてマタニティマークを付ける事を控えたりする事があるそうな。
確かに、ベビーカーに乗ってる子供に対して危害を加えるような事件が起こったりと、妊婦だからといって、簡単にはマタニティマークを付ける訳にはいかなかったりする状況にはあるのかもしれない。
しかし、何故、このような状況を作り出してしまったのだろうか。
そもそもマタニティマークは妊婦が周囲に対して周知し、周囲の者達が妊婦に対しての配慮を容易にする為のものであると考えます。
しかし、現実には周知をする事が裏目に出てしまう事もあり、配慮を受けるどころか妬み嫉みや反感を招いていたりするのである。
勿論、それは、一部の者に限った事であるが、自己保身の為には、その一部の者に対する気兼ねをしなければならなかったりするのが現状なのだろう。
このような時、我々はついつい妬み嫉みや反感を抱く者を一方的に悪者にして否定してしまう。
特にネットにおいては、そのような者がちょっとでも目立とうものなら、批判が集中し、ネットでよく言うところの所謂、炎上という状況になる。
そのような事も含め、悪いものを否定し排除する方向で本当に問題を解決に導く事が出来るのか。
いや、その前に一方的な立場による一方的な決め付けで善悪を固めてしまっていいのだろうか。
そうではないだろう。
であるならば、妬み嫉みや反感を抱いてしまう者の立場も考慮する必要もあるように思います。
以前、テレビでどなたかがおっしゃってましたが、子供を欲しても様々な事情により、子供を作る事が出来ない方もおられる、と。
また、過去において流産を経験したり、事故や病気で幼いままのお子さんを失った方は、傷口をえぐられるように感じたりするのかもしれません。
そのように考えていくと、「子は宝」と言ったりもしますが、だからと言って、そのような価値観を共有出来ない方々を排除してしまっては、子も宝もあったもんではありません。
一方的な価値観で一方的に配慮を押し付ける事が、本当の意味で妊婦や子供達を守る事に繋がるのでしょうか。
私自身は「子は宝」という価値観を共有する事も出来るので、マタニティマークの周知を拡げる事で周囲に配慮を願う事が出来るのであれば、それに越した事はないように思います。
しかし、その一方でそうやって価値観を共有出来ない方々を切り捨ててしまう事にも疑問を感じるのです。
自分がそうだから、周囲もそうであるべきと考えるのではなく、自分がそうなんだから、そうでない誰かがいても当然であり、そんな誰かを許容出来る自分でありたい。
そして、それが、そうでない誰かがいるんだから、そうである自分もいていい、というような自己肯定にも繋がり、社会に対する理解をより深める事も出来るのではないかと思うのです。
結局、マタニティマーク等の周囲に配慮を願うようなマークは見方を変えれば、一方的な価値観の押し付けとも言える訳で、それが理解を遠ざけて不理解を生んでいる面があるのではないでしょうか。
そして、それが不当な差別とも言える事例を作っていると考える事も出来るでしょう。
要するにマークがある事が甘えや不理解を助長し、人が人を思いやる気持ちを忘れさせてしまっているのかもしれない。
そう考えると、出来る限りはマークに頼らない方がいいように思うのです。
マタニティマークの事で言えば、妊婦だから配慮するのではなく、誰もが誰かを積極的に思いやれる。
その結果として、妊婦が配慮をしてもらえる。そんな世の中を目指すべきだと思うのです。
急がば回れ、じゃありませんが、マークに頼る事はある意味、近道であるのかもしれません。
遠回りしてでもより多く、より様々な方々が配慮し、配慮してもらえる、それが理想なんじゃないかと思ったりもします。
ただ、その一方で現実に配慮を必要としている方々もいるのです。
どのマークが必要なのか必要ではないのか、すぐに結論を出す事は出来ないのかもしれませんが、一方的な立場に偏らずに他方にも配慮を示す事が、本当に配慮を必要としている方々に配慮を届ける事にも繋がるのかもしれません。
転載元URL(2015.11.1)
http://next.spotlight-media.jp/article/209634931865094693
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