第13話

怖い。苦しい。辛い。居なくなりたい。消えたい。でも........

痛いのも苦しいのも辛いのも。少しなら耐えられる。堪えられる。

いっぱいはいやだ。

誰かに『助けて』の一言が言えたなら、どれ程楽なのだろうか?


死にたいと思ったことはあっても実際に自傷行為はした事ない。なんでだろって思った時に、と気付いた。



血塗れな手。ナイフか包丁を握りしめ、色のない瞳には目の前の人であった肉塊が転がる。


グサッ!グサッ!


助けを乞う顔。無表情でそれを刺す、刺す、刺す...

次第に歪む口。流れ出る涙。止まらない手...

楽しい愉しい楽しい。やめなちゃいけない。怖い恐い怖い。

動かなくなったそれを茫然と見つめて次を探す。

居た。

刺す。蹴る殴る。刺す、刺す、刺す刺す刺す...

次から次へと返り血浴びて赤くなるのも気にせずに。

切れなくなったそれを捨てて新しい物を。

そうやって何度も何度も何度も……を殺した。やられてはやり返してを繰り返す。



誰か、誰か。助けて......


届かない叫びをあげながら。


怖いよ辛いよ嫌いだよ......


どんどん深みへ入ってく。


もっと、もっともっと......


希望も口に出来ずに手を伸ばす。


誰かに聞いて欲しい、届いてほしいと願いながら。


変わりたい。変わるんだ。もがいてあがいて這い上がれ。


それでも辛くて怖い時は。












       誰か、助けて。

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未定の物語 夜季星 鬽影 @Micage

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