第22話 不思議な関

 さあ、喫茶店の仕事はほとんどが仕入れであとは当日の飾りとセッティングで終わる。楽チンだよ。今回は。


 なんて私の考えが甘かった。榊が! 榊がそこで満足しない! ウエートレス担当の女子にはそれぞれコスプレが渡さされる。男子は準備と裏方の調理に回る。なんでなのよ、この学校! メイド服がなぜ違う種類のまであるの? この前と違うメイド服を着ている私。今回は頭にもカチューシャつけてる。あのヒラヒラの。榊! メイド好きなの!?

 帰宅部の女子は少ないので二交代でやることに。

 榊の発案の『ご主人様』という台詞はなんとか却下した。普通に注文聞くだけで気が滅入るのに。またメイド服着たから絶対私の趣味だと思われるじゃない!




 休憩中。気が滅入ってるとこに柏木君がパフェを持って来てくれた。どうやら男子も交代みたい。


「ありがとう! 疲れた!」


 まだ後半があるんだけどね。さっきの休憩はランチで終わったし。


「ねえ。ちょっといい!」

「ん?」


 あ、撮られたパフェ食べてるメイド。


「なんで、撮るの?」

「いいじゃない!パフェ食べてるメイドだよ! 運んでるんじゃなくて」

「……」


 そこなの? 食べてるが希少なの?

  榊も交代なのかやってきた。


「お! いいな! 俺も!」


 榊、口を開けてパフェの催促してるし。もう、しかたない。


「はい」

 榊は一口で私のスプーンの上に乗っかったパフェを食べる。

「うーん。俺が作った方が美味いんじゃないか?」


 食べてるんじゃないか。自分で作って。男子の裏方! 食べ放題になってるんじゃないの? こっちはテーブルからテーブルへこんなカッコで飛び回っているのに。


「えー。材料一緒だよ。変わらないって」

「同感!」


 食べながら柏木君に同意します。パフェは変わらないと思うよ。確かに榊の料理は上手だけど。


「なんだよ。じゃあ、今から作って持ってくる!」

「あー、いい。大丈夫! そう榊の作ったのが美味しいよ」


 パフェ二個も食べれません。

 柏木君は笑ってる。全く、榊はすぐに私で遊ぶんだから。




 休憩が終わり、またウエートレスとして働く私。なんか客多くない? だんだん増えてない? 疲れてるんで余計にそう感じるのかな? ドンドン売り切れ続出して最後は完売。時間までに閉店となった。おかげで早く着替えられた!!

 お疲れ私。

 更衣室を閉めてまたもやみんなのコスプレ持って生徒会室へ。デジャブだよ。

 榊がコスプレ好きなのかあの顧問なのか……クラスで喫茶店やってもコスプレしてたのかな? クラスの担任の意向で。


「おう、お疲れ!」

「榊、どうしたの?」


 男子は片付け、女子も着替え終わったら片付けにまわる。

 まだ片付け終わってないよね?


「ここ開けてなかったのを思い出して」

「ああ、ありがとう」


 榊が開けてくれたドアから生徒会室に入りテーブルにコスプレを置く。


「大盛況だったね。まさか売り切れ続出して完売までするとは思ってなかった」

「そう?」


 榊は自信あったの?


「やっぱりメイドがいいんだよ」


 やっぱり榊がメイドが好きなんだね。


「それはどうだろ?」

「いや、今回のメイド服はさらによかった」


 露出が増えてたけど、メイド服の良さは私にはわからないよ。


「どうかな?」

「ほら!」


 携帯の写真を私に見せてご満悦な榊。なぜまた私なの? ああメイドか、ってしかもウエートレスしてる間じゃないのよ! この写真。


「何時の間に! 榊はちゃんと仕事してたの?」

「してたよ。誰だと思ってるんだ」


 どっから来るんだ、その自信!


「もう。音楽祭にメイド服着せないでよ!」


 この際だから、先に先手を打っておこう。


「えー! ダメか?」


 お、今回は私の意見を榊は聞いてくれるみたい。よかった。


「ダメ。さ、片付けの方に行こう。」


 これ以上の反論がくる前に話を終わらせる。




 片付けが終わり、ホームルームも終わった。疲れたよ。やっぱり疲れる祭り! 誰だ祭りを催促した奴は!




 今日は生徒会室にコスプレを取りに行って、先生に更衣室の鍵を渡して帰るので榊と帰る。


「疲れたよー!」


 榊にアピールする。


「わかった。今日は俺が、当番代わってやるから」


  もちろん料理当番だ。


「やった!」




 榊との不思議な関係はまだ続いている。そして私はだんだん辛くなってる。こうしている理由を考えて。榊にとって私はなんなんだろうと。

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