第3話ワンデイの夜
行きは降った坂道を帰りは登り、登った坂を降り、頭の中ではラノベの続きの妄想をしながらワクワクと家への道を帰った。
家に着くなりシャワーを浴び、旨い晩御飯(今日は母の得意な鱈の煮付けがメインだと言っていた)を食べる。
そしてもう1度しっかりと風呂に入り、アイスを食べながら、甘いコーヒーを淹れ、それを飲みながら本を読もうと考え家の扉を開けた。
「ただいま」
しかし、やはり俺に甘いのはコーヒーだけであった。
「あぁ、おかえりなさいひろし。なにか手紙が届いていたわよ」
「ん?」
受け取ってみるとそれは不気味な封筒だった。
まず住所が書かれていない。そして切手が貼られていない。もちろん消印はなかった。
どうやら直接郵便ポストに入れられていたらしい。
真っ黒の横に長い長方形の封筒に、白い文字で、俺の名前が記されている。
そして、封は赤い蝋でされている。
ラノベが好きな俺は異世界への招待状か何かかと思い、凄くテンションが上がった。
俺は扉を開ける前のことを全てやり、異世界に召喚されてもいいように、ナイフ、ランプカバンに詰め込んで。両親から貰った熱い思いと、あの眼差しを持って。
「さぁ来い異世界!」
封を開けた。
もちろん異世界召喚はされなかった。
「なんだ...」
残念だ。
改めて中を見てみると綺麗に装飾された便箋とトランプのクラブのエースが入っていた。
俺はもうラノベのことを忘れて。便箋を読んでいた。
《恐ろしい夜がやって来ました》
という書き始めだった。
「!」
俺はこの言葉を知っていた。
「そうだ、これは人狼のゲームの始まりの言葉だ...」
そして、さらに手紙はこう続いた。
これは人狼ゲームです。ルールは以下の通りです。
⚫これは人サイドと人狼サイドで構成されるゲームです
⚫このゲームは【夜】と【昼】の2つのパートに分けられます。
《まず【夜】の説明です。》
⚫各プレイヤーは固有の能力を使う事が出来ます。能力は以下の通りです。
〇人狼は人を殺す。
人狼がプレイヤーの半数を超えると、人狼サイドの勝利となります。
〇市民は誰が人狼か推理しどのプレイヤーが人狼かを疑う事が出来ます。
疑われる事に悪い効果はありませんが、話し合いの時に誰が1番疑われているかが分かります。
〇占い師は【夜】が来る度に1人を占い、
そのプレイヤーが市民であるか、人狼であるかを知ることができます。
《続いて【昼】の説明です。》
⚫【昼】は、話し合いと投票をするパートです。
⚫話し合いはプレイヤー同士で誰が人狼かを話し合います。
ここでは何を言っても構いません。役を騙ってもいいですし。勿論本当のことを言っても構いません。
⚫話し合いの後、投票をします。
投票は話し合い会場に準備してある紙に名前を書き投票箱に入れます。
⚫投票の結果一番多い票が入ったプレイヤーは吊られます。
《各サイドの勝利条件》
⚫人狼サイド・・・過半数になる
⚫人サイド ・・・人狼を吊る
《このゲームの特別なルール》
⚫配役は同封したトランプのカードで判断してください。
〇エース、ジャック、キングを引いたプレイヤーは市民
〇クイーンを引いたプレイヤーは占い師
〇ジョーカーを引いたプレイヤーは人狼
⚫カードは各1枚ただしマークはランダムです
⚫市民
〇カードの裏に名前を書くとそのプレイヤーを疑った事になります。
⚫占い師
〇カードの裏に名前を書くと占う事が出来ます。
結果は翌朝、この手紙が入っていた郵便ポストに結果の紙が封筒に入って届けられます。
⚫人狼
〇人狼は直接人間を殺します。
〇人狼に殺された人間は現実でも死にます。
⚫ゲーム
〇話し合い以外の場でこの話をする事を禁じます。もし話そうとしても言葉が出なくなり、無理に続けると呼吸が出来なくなり、失神します。
〇吊られた人は一切の記憶が消され日常に戻されます。特にペナルティはありません。
〇もし1人でも能力に沿った行動をしないとゲームに関係ない人間が死にます
〇トランプは回収されますので、しっかりと役は覚えておいてください。
《最後に》
⚫このゲームは人間社会に生まれた人狼を消すために作られたゲームです。
人狼はこのゲームの開催中プレイヤーしか殺せず。また人サイドが勝つことが出来れば人狼は普通の人に戻すことが出来、あなたがたの日常を守ることにもなります。
⚫人サイドが勝ったときには賞金が与えられます。
各3000万円
ルールを守って楽しくプレイ!
人狼ゲームマスターΦ
「なんだこれは!」
途中までは普通の人狼ゲームだったが、途中からよくわからなくなった。
なんだと人が死ぬ?そんな馬鹿な!
冗談かなにかかと思ったがトランプをもう1度確認すると俺は市民らしい。
そして、俺を含めてプレイヤーは5人いるらしい。
何がなんだかわからないがとりあえずトランプが盗られないように机の引き出しに入れ、鍵を閉め、ガムテープを貼って閉じておいた。
そして、明日も寝坊しては不味いのでラノベも結局読まずに眠ってしまった。
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