アリス
竹村音乃鈴
プロローグ
時は、遥か未来
海面すれすれをプカプカ浮かぶ、円盤型の宇宙船の館内。
「ねえ、何か聞こえない?」
宙に浮かぶ、美少女は問いかける。
美少女とは言っても、触れる事は出来ない。
美少女は、人ではなく、この宇宙船のAIであるマリアのこの容姿はホログラムなのだ。
マリアは、宇宙船の乗船者である少年に問いかける。
「マリア、ついに壊れたの?
地球上の生物が絶滅してから何百年経つと思ってるんだ?」
船長らしき、少年はため息混じりに返答する。
「だって、
微かだけど、生物のエネルギー反応あるんだもん」
宇宙船のAIマリアは、船長の反応に食い下がるように子供のように答える。
「亡霊でも捕らえてるんじゃない?
たまに、宇宙伝説とかであるし」
少年は、さらりと話を聞きながら年代ものの書物選り分けている。
少年の世代にとっては、地球は死の星。
人類は、
既に、地球を見限り第二の星火星や、人工衛星都市へ移り住んでいった。
地球は自己治癒で再生されていってはいるが、今の宇宙に散った人類にとっては魅力を感じない星なのだろう。
少年にとっては、過去の遺物を探検には持ってこいの星なのだ。
少年は月生まれの月育ち。
今日も、暇潰しに相棒の宇宙船のマリアと一緒に地球探検に繰り出していた。
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