第八節; Law to hearts.

太陽は水平線へとその身を隠しつつある。

暗くなる空の下、砂浜に結魚ユナと二人でいた。

「これからどうするの?江戸時代の予言者から届いた手紙っていうの、見てみたいな」

「それも大切なのじゃが、今日中にもう一人仲間を増やしたいのじゃ」

「もう夜だよ?」

「今日は貴重なバイト休みなのじゃ。あまり長くは待てんのじゃ」

「バイトしてるんだ?」

「わっ、わしではないのじゃ。相手がなのじゃ」

「よく調べてるね」

他心律タシンリツで気持ちも記憶も分かるのじゃ。受律者を探せるのじゃ」

「そうか。それで僕のことも色々知って……って、結魚!僕の気持ち気づいてる!?」

「ゆ?」

色白の顔をキョトンとカシげる。

ああもうかわいいなあ。

「神律に関わること以外は見ないようにしているのじゃ。誰も、心を覗かれたくはないじゃろの?」

寂しそうな目をした。

ああ、バカ。余計なこと聞いちゃって。

結魚だってきっと神律で辛いこともあったんだ。

「で、やもの気持ちとは何なのじゃ?」

「ななななな、何でもないよ!?うん!本当に!世界を救おう!的な感じ!」

「そうかえ」

結魚は照れ臭そうに小さく笑った。

「ねえ、どうやるの?」

「あまり気持ちいいものではないのじゃ?」

「いいよ。聞いてみたい」

「……では、やもにリンクするのじゃ」

(●●●●●●●●●●●●!)

(△△△△△△、△△△△△△△△△!?)

(■■■、■■■■■■■■■■■!!)

「わっ!?ストップ!何これひどい!?」

「どうしてもノイズが混じるのじゃ。これでもかなりマシになったのじゃ」

「こんなの聞いてたら気が変になっちゃうよ!?」

「大丈夫なのじゃ。ありがとうなのじゃ。やもは優秀なのじゃ」

「な、何さ突然?」

「人の持ち得ぬ力を当然のように扱っておるのじゃ。五人の中でダントツに優秀なのじゃ」

「ゆ、結魚は……?」

「わしは……」

目を閉じて、自重気味な笑みを浮かべる。

「初めの内はひどかったのじゃ。……わしは不器用じゃからの」

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百八十紐 水辺無音 @muon09

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