勇者見習いの魔王
ふだはる
勇者見習いの魔王
第1話
魔王が勇者の見習いになったワケ Ⅰ
玉座に
彼女の座っている玉座の前に
彼は魔王に対して、こう
「魔王様…勇者の一行は既に城にまで
魔王は彼を
「臣民を見捨てて余に逃げろと申すか?」
魔王に問われた男は答えない。
彼女は一呼吸を置いてから彼に伝える。
「…余は逃げぬ。この
魔王の言葉を聞いた男は、静かに立ち上がると
「では、どうあってもここに残ると?」
「無論だ。」
時間が少しだけ流れた後に男の口から、盛大な溜息が
「…はあぁ〜…ああ、もう勝手にすれば?知らねぇぞ俺は?お前が犯されても…。」
「お、お、お、おか、おか、おか?」
激しく
「立て直すも何も…前魔王である、お前の親父が死んでから、ここまでこの国が
「う、うるさい…。」
弱々しい魔王の声。
「お前の親父が恐怖と暴力で
「…うるさいって言ってるでしょ?」
少し強くなった魔王の口調。
「それが、お前の親父が死んだ
「うーるーさーいー。」
涙目の魔王。
「大体だな…過去に前魔王が闘って何とか引き分けに持ち込んだのが今ここに向かってる勇者で、しかも相手がガキの頃の話だって知ってるだろ?成人した奴に戦闘力が親父に比べてミジンコ以下の娘が勝てる
「うるさいって言ってるの!」
魔王は、とうとう叫んでしまったが男は構わず話を続ける。
「なんとか外交努力で
「パパの事を悪く言わないでよっ!」
魔王は顔を真っ赤にして怒り出した。
「それに!そんなに優しい勇者なら…お、お、おか、おか…無理矢理エッチな事なんか、してくるわけないでしょっ?!」
魔王とは思えない弱気で甘ったれた予測に、男は
「ついさっきまで勇者達を討ち倒すとか言ってた奴の
男も言い返している内に興奮気味になっていた。
「事情があるにせよ不可侵条約を先に
「…私それなりに一生懸命に、この国を
魔王は消え入りそうな声で呟いた。
彼女は、しばらく考えた後に表情を引き締めて、きっぱりと告げる。
「それでも我慢して残ってくれている臣民を見捨てて、自分だけが逃げ出す事なんて出来ないわ…。もう性格的に無理なのよ…。きっと酷い結果になるって分かっていても…。」
そう語った魔王に対して男は、
「それじゃあサヨナラだ。俺は、まだ命が惜しい。」
「…残って一緒に戦ってくれないの?」
男は顔半分だけ振り返って尋ねる。
「おっぱい揉ませてくれる?」
「…イヤよ。」
男は再び顔を謁見の間の扉へ戻すと魔王に聞こえる
「
男は、ゆっくりと扉に向かって歩き出す。
「お前は俺の物にしたかったがね…。じゃあな、お互い生き残っていたら
男の進行方向にある扉の前に紫色の輝きが現れる。
男が輝きの中へと入った後、その紫の光は静かに消えていった。
魔王エストは、その輝きが消えたのを見届けると涙を
せめて最後くらい魔王として…いや、この国の王として恥ずかしくない様に振る舞いたい…そう思っていた。
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