おじいちゃん
わたくし
第1話
5年前おじいちゃんが死んだ
正確に言うと五年前かどうかも分からない
亡くなった時期も彼の当時の年齢も覚えていない
確かに覚えているのは彼は亡くなる時微かに笑っていたということだけだ
――――――――――――――――――――
数年前(覚えてないのでそう書いておこう)母方のおじいちゃんが手術をすることになった
母が成人したての頃に倒れて以来何度か救急車に運ばれ、今は人工透析を繰り返していた
聞いたことがあるかもしれないが人工透析をしている場合食事制限がかかる
その為おじいちゃんはフルーツが食べれなかったりお菓子を制限されたりとしていた(それでもワガママだった為、少しだけ食べていたのは秘密だ)
おじいちゃんの家は1時間以内に行ける距離にあり、いとこに関してはおじいちゃんの家から3分もあれば着くようなところにあった。
なので年末年始や誰かの記念日、孫(私を含めた計3人の事。母の妹の子供で当時小学校
3年と1年だったと思う)の入学や卒業の時に集まっていた
私も二ヶ月に一度くらいのペースでお母さんと一緒に遊びに行っていたため、入院と聞いても別に気にしなかった
だが一応大きな手術だった為、御見舞に行くことにした
都会の大きな病院で当時そこが病院だと知らなかったほど外見はオシャレでオフィスビルのような病院だった
おじいちゃんは腎臓ではなく今度は心臓の弁が弱くなっており、今回はそれを変えるという大きな手術を行うと病院に向かう車内で母に教えて貰った
心臓の弁の役割は知っていた
だから少し心配だった
お母さんも同じ気持ちだったと思う
だけどお互い口に出したら本当になりそうで怖くて言わずにいた
おじいちゃんに似合う黄色の向日葵ブーケと大好きなお菓子を持って病院に行った
日が当たるとても良い部屋でおじいちゃんは座っていた
「なんか手術するって言うから来たよ(笑)そこまで大きくはないんでしょ?」
本当は大きい手術なのを知っていながら母は笑って聞いた
「お前は相変わらずだな。一応大きい手術だぞ?」
おじいちゃんは言った
おじいちゃんが呆れた顔をしたので笑いながら花とお菓子を渡した
「手術前だから流石に食べれないぞ?」
「あ、そうだった(笑)いつも先生の話無視して食べてるから買っちゃったじゃん(笑)退院したら食べてよ!」
母はどうやら食べれないのを知りながら持ってきたようだ。今思うと退院してねというささやかな願いがあったのかもしれない
「そうだよおじいちゃん。早く手術終わって家帰ってきてよー!いとことまってるからさー」
確か私はそういったと思う
「もう会えんかもなぁ」
私の言葉の少しあとにおじいちゃんはらしくない弱々しい声でそういった
母は驚きながら「何言ってんの(笑)」
と言った
私も「ちょ、何いってんの(笑)」と言った
「こんな手術で死ぬわけないじゃん(笑)」
でもおじいちゃんは何も言わなかった
窓辺を見たままこっちを見てくれなかった
「じゃあ帰るねー。頑張ってよ?」
というと、目が覚めたかのように
「お、おう」
と言った
どうやら無意識に言ってしまったようだ
そして私たちは病室を後にした
この時は本当に分からなかったんだ
これが本当に最後だったなんて
――――――――
はじめまして。わたくしと申します。
先日、ふと祖父のことを思い出してしまい増した。
そしてよく考えると祖父が病院にいる間、そして死後にいろいろな偶然があったので今回書かせて頂きました。
名前の通り「第1話」です。
毎日更新であげていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。
ではまた。
わたくし
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