もしも、あの頃に戻れたら。

@asuna_iori

序章

―――――暗い。

ここはどこだ………?

気が付くと、俺は暗く、寒い場所にいた。

寒さの加減からして季節は冬のようだが、俺は上着を着ていなかった。

突然、右のほうからヒュウウウッと冷たいものが吹いてきた。

それは、俺の頬に当たると水となって流れた。

これは何だったろうか?

何という名前で、どういうものなのか?

冷たいのに温かい。俺の、好きだったもの。

……そうだ。これは―――――。

「―――――。」

俺が発したその言葉は凍り付き、音となることはなかった。

その時、遠くから声が聞こえた。

赤ちゃんが生まれたばかりの泣き声。

それを聞いた時……


―――――俺は、何故か泣いていた。



*****


もしも、あの時あんなことをしなければ。


もしも、私とあなたが出逢わなければ。


―――もしも、あの頃に戻れたら。


今とは違う未来になっていたのだろうか?


この後悔はきっといつまでも消えない。消させない。


この後悔は、あなたがここにいた証だから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る