人間の仕業に違いありませんでした。

傑作饅頭

或る場所では、水の溜まる処も流るる処も真っ赤に染まっておりました。

また或る場所では、水がありませんでした。

かつて生きていた者達は、身を寄せ合って眠りました。

森は、死にました。

どれもこれも、

人間の仕業に違いありませんでした。


一羽の烏が夕暮れの中を飛んでおりました。

その鳥は生きた鳥ではなかったのですが、かつての仲間を探してふらふらと漂っておりました。

鳥は、死に絶えた森に仲間を見つけました。

仲間は蜷局を巻いたような木の幹のうえで、静かに眠っておりました。

その身体は軽く、美しいままでした。

どれもこれも、

人間の仕業に違いありませんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人間の仕業に違いありませんでした。 傑作饅頭 @itsu114

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る