第10話 アル中と散髪

同級生の家


◆男

んあー。レポート終わったー


●同級生

結構しんどかったね


◆男

ぼちぼち帰るわ。カメに餌あげなきゃいけないし


●同級生


◆男

急にどうしたんた。


●同級生

髪、伸びてる


◆男

確かになー。

ちょい切りに行く時間がなくてっさ


●同級生

ねえ、切ってあげようか


◆男

切れるのか?


●同級生

うん


◆男

ほんとかよ


●同級生

これ、練習用のマネキン。

これが切る前で


◆男

ふむ


●同級生

切ったやつがこれ


◆男

おー。だったらお願いしようかな。

で、いつにする


●同級生

今から


◆男

え? ってどこからともなくハサミとシートが!


●同級生

シート引くから待って。あとこれ被って。ここに座って


◆男

これまでにないくらいテキパキしてらっしゃる。

はいはい。これでいいか?


●同級生

おっけー。それでどんなのがいい?


◆男

え?いいよ適当で


●同級生

じゃあ


◆男

今すぐそのバリカンはしまえ。

わかったわかった。この画像の感じで


●同級生


◆男

頼むよ


●同級生

......


◆男

.....(手つきがよどみないな)


●同級生

結構くせっけだね


◆男

こればっかりはあれだな。遺伝だな。


●同級生

これなら年取っても、こう、いい感じにうまく、その隠れる、ね


◆男

またそのネタ。もう惑わされないぞ。あれから確認してもらったし


●同級生

誰に


◆男

後輩


●同級生

おーっと


◆男

危なっ! 耳が、耳がちぎれる!


●同級生

手が滑った


◆男

しっかりしてくれ。


●同級生

......


◆男

というかどうしてこんなにうまいんだ


●同級生

自分でずっと切ってたから。


◆男

こんなにうまいなら美容師にでもなれば


●同級生

......


◆男

......ごめん。無理だな。

だから自分で切ってたんだもんな


●同級生

おーっと


◆男

ごめんて!耳、耳!


●同級生

手が滑った


◆男

おいおい


●同級生

.......


◆男

.......

(あ、眠くなってきた。レポートほぼ徹夜だったしな)


●同級生

カシュ


◆男

(カシュ?)


●同級生

ごくごくごく


◆男

おいおい。この匂い。お前まさか


●同級生

振り向かないで。危ない


◆男

危ないのはお前だ。これは間違いなく


●同級生

消毒用だから


◆男

それのせいでケガしそうなんだけど!


●同級生

いざというときは


◆男

ぶっかける気だな!?ストップ!もういいよ。帰る!


●同級生

大丈夫大丈夫


◆男

少しも信じられねえ!


●同級生

もう実は終わってるから


◆男

早く言え!


-----------------------------------


▲後輩

あら、先輩髪切ったの


◆男

よくわかったな


▲後輩

いつもと大分違うもの。

もしかして美容院変えた?


◆男

今回はちょっと友達にな


▲後輩

あたしもその人に頼もうかしら


◆男

行きつけの美容院とかあるだろ


▲後輩

ないわ。というか行ったことないわヘアサロンとか


◆男

普段どうしてんだ


▲後輩

......月に一度くらいのタイミングで


◆男

自分で切るのか?


▲同級生

朝起きたら勝手に髪型が変わってるわ。

最高の仕上がりで


◆男

あー

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