第8話 アル中とラジオ出演
◆男
この酒うまいな。けっこう辛めだけど
●同級生
ぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐび
◆男
話聞いて。でもいいのか飲ませてもらっちゃって
●同級生
この前のお礼だから、大丈夫
◆男
ふうん。で、あれからどうなの。結構有名になったらしいじゃん
●同級生
もっとたくさんの人が聞いてくれるようになった。
◆男
よかったな。でもだからってこんな高いの、用意しなくてもいいのに
●同級生
もらいものだから。ほら、まだこんなに
◆男
確実に二人で飲みきれないな。人にあげてもいいか?
●同級生
うん。
◆男
あ、これ純米大吟醸だな
●同級生
え?
◆男
なんでもない。それよりぼちぼちいい時間だな。明日一限あるだろ?
解散にしようぜ
●同級生
待って
◆男
何かあるのか。もうすぐ日付変わるぞ。
なんだよ、その紙
●同級生
これ見て。
◆男
質問表だな。...俺が答えればいいのか?
●同級生
答えるのはわたし。答えを一緒に考えてほしい
◆男
ちなみに誰から?
●同級生
この前いたずらしてきた芸人さん
◆男
じゃあ、これって
●同級生
ラジオにゲスト出演するの。
◆男
俺は寝るぞ。あの講義、出席点あるの知ってんだろ
●同級生
だめ。
◆男
だめじゃない。
●同級生
だってそのお酒
◆男
...おいおいマジかよ。お前が酒好きって知ってたのか
●同級生
前に一言だけぽろっと放送中に言ったことある
◆男
ヘビーリスナーになってんじゃねえか、あの芸人
●同級生
やってくれる?
◆男
...少しだけだぞ。で、どんな質問があるんだ
●同級生
趣味はなんですか? だって
◆男
...
●同級生
...
◆男
...え?答えろよ、趣味
●同級生
ないかも
◆男
お酒は?
●同級生
趣味なんかじゃない。私にとってお酒は
◆男
なんなんだよ
●同級生
...薬?
◆男
一番ダメな答えなそれ。じゃあなんか適当な奴にするか。カフェ巡りっと
●同級生
カフェはアイリッシュコーヒー飲むとこだと思ってる
◆男
とんでもない偏見だなおい。で次は。将来の夢、か。なんかあんの
●同級生
お酒のおいしい小料理屋の
◆男
お?
●同級生
常連?
◆男
せめて働け。これも適当に書いとくか。人の役に立つ仕事がしたいっと
●同級生
まともな質問がないね
◆男
番組スタッフに謝れ。次。
●同級生
あ、これならいける。
◆男
マジか。
●同級生
お風呂で最初に洗うのはどこ?だって。私は
◆男
絶対に答えるな。
●同級生
どうして?
◆男
...誰も知りたくないだろ、そんなの
●同級生
知りたくない?
◆男
知りたくない
●同級生
本当?
◆男
本当
●同級生
...そう
◆男
そうなの。あと前言撤回。番組スタッフには謝らなくてもいい
●同級生
次で最後だよ
◆男
思ったんだけどさ。こういう質問自分の配信で来ないの?来てんならそれと同じ奴を
●同級生
来ないよ?
◆男
当然でしょみたいな顔されてもな。じゃどんな奴が来るんだ
●同級生
親と喧嘩してしまいました
◆男
あーそういうやつな
●同級生
カレとの将来が心配です
◆男
うんうん
●同級生
弊社の今後の事業戦略についてぜひ忌憚のないご意見を...
◆男
コンサルトか!で、最後の質問は
●同級生
どうして配信を始めたんですか? だって
◆男
これはいけるだろ
●同級生
その日はすごくお酒を飲んでて
◆男
もしかして
●同級生
こう、なんというかその場の勢いで
◆男
あー
●同級生
気が付いたらこうなってた
◆男
で、だんだん好きになっていったと
●同級生
うん
◆男
それは正直に言っとけ。おし終わったな。俺は寝る。お前は帰れ
●同級生
あ
◆男
どうした。スマホなってるぞ。出ないのか。
●同級生
静かにしてて
◆男
まさかお前
●同級生
時間、なかったから
◆男
ぶっつけ本番かよ!
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▲後輩
先輩先輩先輩!
◆男
んだようるせえな。こちとら寝不足なんだよ
▲後輩
なんだ先輩も聞いてたのね! MARIの地上波初進出を! あーつらいわ。私だけの女神がこれで世間にばれちゃうのねー
あーつらいわ。
◆男
あー。そうだな。つらいよ、俺も
▲後輩
それで、どうだった。私はあれから一睡もできなかったわ。興奮して!
◆男
なんか、こうドキドキした。
▲後輩
ああ。またここに女神のとりこになったものが一人。しょうがないわよねー。MARIだものねー
◆男
確かにドキドキはした。したんだけどさ
▲後輩
それにしてもすごかったわねー。涙涙の人生相談。あれって全編アドリブだったんだって。芸人がMARIに会えた感動で台本全部忘れちゃって。質問とか事前に用意してたらしいんだけど
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