空を征く者
飛んでいる。何かが,空を飛んでいる。
鳥ではない。飛行機でもない。
それはあまりにも巨大だった。
空の大部分を覆うほどの巨大な物体が,ゆっくりと,音もなく,上空を移動していた。
ありえないほど巨大なその飛行物体は,うっすらと半透明であるように見えた。その表面は,ある場所は
状況を理解できぬまま,しばらくそれを見上げていた。が,はたと我に返り,
「あ,あれ!」
そう声を上げて周囲を歩く人たちを見渡した。
声に驚いた数人が空を見上げる。しかし,すぐに首をかしげ,
まさか。
こんなに視界を埋め尽くさんばかりなのに。
5分ほども経っただろうか。ようやくその巨大な飛行物体の後端が見えはじめ,静かに頭上を過ぎていく。そしてそれは,ゆっくりゆっくりと,遠く青空の彼方に溶け去っていった。
しばらくの間,私はそこに立ち尽くしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます