第19話 『正体』
パキンッ
部屋に聞きなれない音が鳴り響く。
驚いた
そこには粉々に砕け散った色のくすんだ石、魔法石の姿があった。
「……え?」
「ふむ……やはりな…」
一同が黙りきっている時ケイトさんは何か考えるようにブツブツ喋っている、というか魔法石を触らせたのはこの人だ。何か知ってるに違いない。
「あの…これってどういう事ですか?」
「ん? あぁ、ごめんね言ってなかった。ちょっとした実験だよ」
「実験?」
俺がそう尋ねるとまたケイトさんは語り始めた。
「あぁ、昨日の話を聞く限り霊彦君の力は魔力に何らかの影響を及ぼすものだ
と思うんだ、そうじゃなければバンなんて追い返せない」
「そのことなんですけど……」
「ん?」
俺が話を聞いてると神生がケイトさんに話しかける、貴様邪魔するんじゃない。
「バンって一体なんなんですか?」
そうだった、そもそもバンって何なんだ、貴様よくやった。
「あれ? 言ってなかったか? バンってのは南の小大陸にだけいる魔獣でな、魔
獣の中でも知能が以上に低いしそのうえ化物じみた魔法を使って襲ってくる、
ホーガ以外なら倒せる相手なんだがな……」
「でもこの前会いましたけど……」
「はっきり言って理由はわからん、風竜が関係しているのかもしれないが…」
へぇ、カララ大陸の南には化物が住む大陸があるのか………もうやだこの世界。
いや割とガチで。
「質問に答えないようで悪いけどこの石も触ってくれるかな?」
「あ、はい」
そう言われ石を触る。もうあんな事は起きませんように……
パキンッ
俺なんか悪いことしたかな?
「ほぉ……」
「あの…何がわかったんですか?」
「霊彦君は魔法を打ち消す能力があるのかもね」
「え?」
俺だけじゃなくてケイトさん以外の全員が変な声を出した。いやだってなんかチートっぽいじゃん、まぁ効かないだけなんだけど。
「霊彦君が歩いた後の道からは尽く魔力が消滅してるんだよ、それと今触って
もらった石は魔力の塊の石、よほどの力を加えるか強度を作り出してる魔力
を抜き取りでもしない限り壊せない石だよ」
「え」
なんだろうどんどん俺が人間じゃなくなっていてる気がするんだ。でも俺には分かる、これは幻覚だって。
「あ、神生ちゃんも触ってみてくれる?」
「あ、はーい」
パキンッ
「…………」
やあ、こっちの世界にいらっしゃい。
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